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新聞週間 3

金曜日, 10月 17th, 2008

年をとってからも健全な記憶力をキープしていたい…それは万人の願いだろう。そのためにはどんな心がけが必要なのか。「ぼけ」の3回目は、記憶力を高めるためのコツを紹介しよう。

脳の好物「好奇心」記憶中枢に栄養あげればいくつになってもグングン成長

新趣味で“忘れる暇なし”海馬はストレスに弱い

 「ほら、あれ、あの人気ドラマに出てた俳優だよ、ほら、えー、誰だっけ…」…のど元まで名前が出かかっているのに、どうしても固有名詞が浮かばない。そんなことが続くと、「ひょっとしてボケの兆候か…」と心配にもなる。
 だが、もの忘れでもこうした「度忘れ」なら、そう心配することはない。後から「そうそう、その人」と思い出せるのなら、記憶自体が消えているわけではない。度忘れは若い人にも見られ、脳の老化とは関係ない。
 では、どんなもの忘れが危ないのか。
 それは、体験した事実がすっぽり抜け落ちてしまうような場合だ。たとえば、昼ごはんのメニューを思い出せなくてもさして問題ないが「お昼ごはんを食べた」という行為自体を忘れてしまうのは危ない。
 こういうもの忘れは、認知症の初期症状である可能性が高く、早めに医療機関を訪ねた方がいい。
 誰しも記憶力の衰えは気になるもの。だが、そもそも年をとってから記憶力を伸ばすことなど可能なのだろうか。
 東京大学大学院の石浦章一教授は次のように話す。
 「記憶中枢と呼ばれる海馬では、脳の中で唯一、新たな神経細胞が生み出されています。そして、こうした神経細胞が増殖し、海馬を活性化させることができれば、記憶をつくったり出し入れしたりする力も高まるのです。ある程度年をとっても、海馬を鍛えさえすれば、記憶力を高めることができるのです」
 では、どうすれば海馬を鍛えられるのか。石浦教授によれば、まず気をつけたいのはストレス。
 海馬の神経細胞は精神的ショックを受けると死にやすい。だから、うつ状態にならないよう、ストレスをうまく受け流すことが大切だという。また、海馬は虚血に弱いため、血管障害が起こらないよう、食事や運動にも気を配りたい。さらに、仕事や趣味などで新しいことに積極的にチャレンジすることも大切。いくつになっても好奇心を抱いて学習しようという姿勢が、海馬への刺激になるのだ

 食事、運動、十分な睡眠を

 それと、忘れてはならないのが睡眠。記憶は寝ている間に固定されることがわかっていて、良い睡眠を十分にとることは、クリアな記憶を保つために欠かせない条件だという。
 このように、記憶力の維持には、その人が日頃どんな生活をしているかが大きくかかわっている。おそらく、ストレスの少ないのびのびとした環境で規則正しく暮らし、しかも、いつも好奇心を持って目をキラキラさせているような人は、年をとっても記憶力を伸ばせるし、いつまでも高い記憶力をキープできるのだろう。
 だから、そういう状況を自分で意識的に設定するようにすればいいわけだ。新たな趣味を持つもよし。田舎暮らしを始めるもよし。そういう「自己設定力」があるかないかで、人の生きる活力は大きく変わってくるもの。
 中高年以降の記憶力の「差」は、案外そういうところでついてくるものなのではないだろうか。
(メディカルライター・高橋恭一)

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