芸術から医療・福祉に重点の構想案 ~常陽新聞101116~
取手市は15日までに、JR取手駅西口地区の土地利用構想案を再策定した。前回までが、芸術館の整備などを中心にした「芸術の杜」構想だったのに対し、今回はテーマを「ウェルネス・タウン取手の創造」と改め、健康、医療、福祉機能を集積した街づくりを目指す。1993年から同市が施行している同駅北土地区画整理事業区域約6・5㌶を中心にした街づくりの基本方針で、同地区の構想案が策定されるのは3回目。
構想案は、少子高齢化社会に対応した求心力のある中心市街地を目指す。従来、駅前に求められていた商業・業務施設の集積ばかりでなく、高齢者も子育て世代も安心して暮らせるよう、特に健康維持、医療、福祉機能を集積させる。
具体的には、内科や歯科、眼科など各診療所が集まった医療モール、在宅療養支援サービス、高齢者など多世代が安心して住むことができる集合住宅などを集積させる。さらに駅周辺の商業施設や公園などをバリアフリーの通路で結び、街なかを散策しながら、気軽に運動したりリハビリできる環境をつくる。
芸術的施設の整備に代わって、街なかに、東京芸大の学生や市民が芸術イベントを開催できる滞留スポットを至るところに設ける。
構想案は15日から市広報誌などで公表し、市民から意見を募集した上で、最終決定する。事業手法や、医療・福祉機能を集積させるための仕掛けなどは現在未定で、市は、今後、民間事業者の参画意向調査などを実施しながら検討したいとしている。具体的な施設の配置などは、その次の段階で検討するという。
同駅北地区は当初、商業・業務再開発ビル、芸術的施設、駐車場の3施設を整備する構想でスタートした。そのうち駐車場はPFI(民間資金活用施設整備)で整備する計画だったが、駐車場需要の落ち込みで計画を取り止めた経緯がある。2回目は「芸術の杜」構想を策定し、芸術館や図書館と民間マンションなどを整備する計画を立てたが、建設資材の高騰や2008年のリーマンショックによるマンション需要の落ち込みなどにより、実現しないまま3回目の構想案策定となった。