利用客減に歯止め掛からず
「TXと震災が影響-関東鉄道常総線
今年11月1日、 開業100年を迎える関東鉄道常総線 (取手―下館、 51・1㌔) が、 利用客減少に歯止めを掛けられないでいる。 つくばエクスプレス (TX) が開業した2005年以後、 利用客が大きく落ち込み、 東日本大震災や福島第1原発事故による風評被害が追い討ちをかけた。 こうした状況から、 県、沿線自治体、商工団体、 利用客と関東鉄道で構成する常総線活性化支援協議会がアンケート調査を始める。 沿線住民らの意見を集めて活性化に向けたきっかけづくりを模索したい考えだ。 同社は 「経営努力と沿線自治体などとの協力でプラスに持っていきたい」 とする。
■3期連続の赤字
同社によると、 現在の利用客はTX開業前の04年度と比べ約2割減少、 経常損益は09年度以降3期連続の赤字となるなど厳しい状況が続いている。
TX開業により、 水海道―取手間の利用客数と利用距離が大きく減少。 これまで常総線を利用して取手まで行き、 JR常磐線に乗り継いで首都圏に通っていた常総、 つくばみらい、 守谷、 取手市内の通勤・通学客らが、 常総線に乗らず、 自家用車などで直接、 TX守谷駅まで行くようになったなどが要因という。
小絹 (つくばみらい市) ―取手間は、 1970年代後半から80年代前半に開発された新興住宅団地が広がっていることも要因。 団地住民の主力の団塊世代が一斉に定年退職の時期を迎えたこと、 少子化が進行しているなど地域の構造的な特徴もある。 少子化に加え、 ここ数年、 各高校のスクールバスが拡充されていることなども利用減の要因になっている。
東日本大震災では、 常総線が3~4日で復旧したものの、 JR常磐線の完全復旧に時間が掛かった。 震災でいったんマイカー利用に切り替え常総線を利用しなくなった通勤・通学客が、 復旧後、 戻らなかったほか、 福島第1原発事故の風評被害により、 観光客や鉄道ファンの利用が減少したことなども拍車を掛けているという。
■ワンマン化、 無人化も
こうした状況に対し同社は、 TXが開業した2005年、 完全ワンマン化などの合理化と、 快速列車の運行など利便性向上を実施。 ワンマン化は1997年から取り組んでいたが、 2005年に、 全列車を4両から2両編成にして乗降客の安全を確保しワンマン化した。
TX開業で収支が大きく落ち込んだことから、 07年に運賃8%値上げを実施。 値上げにより翌08年度の収支は一時持ち直した。
さらに09年、 通勤・通学客の85%が東京方面の利用であることから、 首都圏の鉄道やバスなど幅広く利用できるICカード 「PASMO (パスモ)」 を導入して利便性向上を図った。 10年度には取手―守谷間で、 1日の利用客が3000人を下回る8駅を、 日中、 無人化するなどさらなる合理化を図った。
■ビール列車好評
PRのため、 イベントを開催したり、 イベント列車を運行したりすることにも取り組んでいる。「駅からウオーク」は03年から開始。 現在、 沿線自治体と連携して年4回開催し、 沿線や千葉県などから毎回150~200人が参加している。 イベントには県や自治体、 商工会などが協力。 今月26日開催の水海道駅から県自然博物館まで歩くコースの場合、 県自然博物館などの入場料を無料にしてもらうなどの協力を得ている。
11年からはイベント列車も走らせている。 取手と守谷市にはそれぞれキリンビールとアサヒビールの工場が立地していることから、 沿線の景色を眺めながらビール飲み放題の 「ビール列車」 を運行。 取手発―下妻までの往復コースがキリンビール飲み放題、 守谷発―下館往復コースがアサヒビール飲み放題で、 停車駅では地元商工会などが特産の弁当やつまみを販売する。 ほかにお見合い列車や歌声列車なども運行している。
しかしこうした取り組みにもかかわらず、 09年のリーマンショックによる景気の後退の影響などもあり、 同年以降3期連続の赤字が続いている。 同社は 「現時点で廃線は考えてないし、 何とか盛り上げていきたいが、 経営努力だけでは赤字解消が図れない状況」 だとする。
アンケート調査は沿線各自治体のホームページや市広報紙などでも呼び掛ける。 同社は集まった課題やアイデアを活性化につなげたいと話す。
もの」と話す。
利用客減に歯止め掛からず ~常陽新聞20130114~
「TXと震災が影響-関東鉄道常総線
今年11月1日、 開業100年を迎える関東鉄道常総線 (取手―下館、 51・1㌔) が、 利用客減少に歯止めを掛けられないでいる。 つくばエクスプレス (TX) が開業した2005年以後、 利用客が大きく落ち込み、 東日本大震災や福島第1原発事故による風評被害が追い討ちをかけた。 こうした状況から、 県、沿線自治体、商工団体、 利用客と関東鉄道で構成する常総線活性化支援協議会がアンケート調査を始める。 沿線住民らの意見を集めて活性化に向けたきっかけづくりを模索したい考えだ。 同社は 「経営努力と沿線自治体などとの協力でプラスに持っていきたい」 とする。
■3期連続の赤字
同社によると、 現在の利用客はTX開業前の04年度と比べ約2割減少、 経常損益は09年度以降3期連続の赤字となるなど厳しい状況が続いている。
TX開業により、 水海道―取手間の利用客数と利用距離が大きく減少。 これまで常総線を利用して取手まで行き、 JR常磐線に乗り継いで首都圏に通っていた常総、 つくばみらい、 守谷、 取手市内の通勤・通学客らが、 常総線に乗らず、 自家用車などで直接、 TX守谷駅まで行くようになったなどが要因という。
小絹 (つくばみらい市) ―取手間は、 1970年代後半から80年代前半に開発された新興住宅団地が広がっていることも要因。 団地住民の主力の団塊世代が一斉に定年退職の時期を迎えたこと、 少子化が進行しているなど地域の構造的な特徴もある。 少子化に加え、 ここ数年、 各高校のスクールバスが拡充されていることなども利用減の要因になっている。
東日本大震災では、 常総線が3~4日で復旧したものの、 JR常磐線の完全復旧に時間が掛かった。 震災でいったんマイカー利用に切り替え常総線を利用しなくなった通勤・通学客が、 復旧後、 戻らなかったほか、 福島第1原発事故の風評被害により、 観光客や鉄道ファンの利用が減少したことなども拍車を掛けているという。
■ワンマン化、 無人化も
こうした状況に対し同社は、 TXが開業した2005年、 完全ワンマン化などの合理化と、 快速列車の運行など利便性向上を実施。 ワンマン化は1997年から取り組んでいたが、 2005年に、 全列車を4両から2両編成にして乗降客の安全を確保しワンマン化した。
TX開業で収支が大きく落ち込んだことから、 07年に運賃8%値上げを実施。 値上げにより翌08年度の収支は一時持ち直した。
さらに09年、 通勤・通学客の85%が東京方面の利用であることから、 首都圏の鉄道やバスなど幅広く利用できるICカード 「PASMO (パスモ)」 を導入して利便性向上を図った。 10年度には取手―守谷間で、 1日の利用客が3000人を下回る8駅を、 日中、 無人化するなどさらなる合理化を図った。
■ビール列車好評
PRのため、 イベントを開催したり、 イベント列車を運行したりすることにも取り組んでいる。「駅からウオーク」は03年から開始。 現在、 沿線自治体と連携して年4回開催し、 沿線や千葉県などから毎回150~200人が参加している。 イベントには県や自治体、 商工会などが協力。 今月26日開催の水海道駅から県自然博物館まで歩くコースの場合、 県自然博物館などの入場料を無料にしてもらうなどの協力を得ている。
11年からはイベント列車も走らせている。 取手と守谷市にはそれぞれキリンビールとアサヒビールの工場が立地していることから、 沿線の景色を眺めながらビール飲み放題の 「ビール列車」 を運行。 取手発―下妻までの往復コースがキリンビール飲み放題、 守谷発―下館往復コースがアサヒビール飲み放題で、 停車駅では地元商工会などが特産の弁当やつまみを販売する。 ほかにお見合い列車や歌声列車なども運行している。
しかしこうした取り組みにもかかわらず、 09年のリーマンショックによる景気の後退の影響などもあり、 同年以降3期連続の赤字が続いている。 同社は 「現時点で廃線は考えてないし、 何とか盛り上げていきたいが、 経営努力だけでは赤字解消が図れない状況」 だとする。
アンケート調査は沿線各自治体のホームページや市広報紙などでも呼び掛ける。 同社は集まった課題やアイデアを活性化につなげたいと話す。
もの」と話す。