たくさんの幸せのいす、みーつけた
Archive for 5月 24th, 2014
オープンガーデンで優しさを感じて
土曜日, 5月 24th, 2014男の気持ち 変わらぬ気持ち
土曜日, 5月 24th, 2014男の気持ち 変わらぬ気持ち 毎日新聞 20140524
結婚後55周年になります。定年退職後、苦労をかけたお返しにと夕食は自分が作ることに決めました。
メニューから食後の片付けまですべてです。
「おいしい!」と喜んでくれるのでやりがいを感じていました。
7年前、妻は悪性リンパ腫の末期と診断されて6カ月入院、化学療法を受け命拾いをしました。
しかし、背骨腰部の神経が侵され、歩行困難となり、老老介護を余儀なくされました。
間もなく自分も食道がんを発症、2カ月入院して化学療法を受けました。
妻は市内の老人ホームに短期入所。
私が退院後も老老介護を続けましたが、入浴、トイレなどで妻を支えきれず、
2人で転倒することもあり、老老介護の限界を知り、ホームへ入所をお願いしました。
自分を責めるようになったのはそれからでした。介護から逃げたのか。
頑張れば一緒に生活できたのではないか。
妻を捨てたのか。日夜自分を責め続けました。
1日おきに面会に行くのもそのためでした。
当初、「いつ帰れるの」「私も一緒に帰る」「どうして家へ帰ってはいけないの」と
涙を流して訴えられると、言葉に詰まり、説明のしようがありませんでした。
入所して2年。このごろは慣れたのか、面会に行くと「うれしいわ」と周囲の目もはばからず手を取って喜びます。
帰り際には必ず「今度いつ来てくれるの」と次回を確かめ、手を振って見送ってくれます。
老いは肉体をむしばみますが、男も女も気持ちだけは変わらぬようです。