ひと Codamaさん 地域を変える「砂場研究家」
毎日新聞2020年6月10日
「砂場研究家」を名乗り、各地の砂場を訪ねている。顕微鏡やスコップなど砂の成分を分析する道具を持ち歩く。保育園や公園の砂場作りのアドバイスをしたり、どろだんご作りのワークショップを開いたりして、「どろだんご先生」と呼ばれることもある。
2017年、勤務していた医療法人が保育園を開設することになり、園庭の砂場作りを担当したのがきっかけだ。どんな砂が子どもたちの遊び場に最も適しているか。「粒子の細かい川砂がいい。川の流れで角が丸まっていて、万一子どもの目に入っても眼球を傷つけにくいから」。だが、日本の砂場は2ミリ以上の、砂より大きい礫(れき)が入っていることが多い。「砂場は、子どもの創造力を高める遊具。でも、日本の砂場は硬く、遊びにくく、痛い。遊んでいる子どもの集中力も切れてしまう」
砂場は日本の子どもから遠ざかりつつある。1993年の都市公園法施行令改正で公園に設置義務がなくなり、95年には幼稚園設置基準からも外れた。定期的な砂の清掃などが行われず、管理が不十分で、不衛生な砂場も目立つ。
「私が訪ねた欧州諸国では、地域の人が自分たちの生活に必要な場所として、近所の公園を守っていると感じた。小さな汚れは自分たちできれいにし日々向き合っているからこそ、問題があれば声を上げ、行政にも情報が届く。私たちが関心を持って見守りましょう」。砂場から地域を変えていく。