オンラインで委員会出席 取手市議会が条例案可決
毎日新聞 20200905
取手市議会は4日の本会議で、議員が委員会にオンラインで出席することを認める、関連条例などの改正案を可決した。災害の発生や感染症のまん延などで、招集が難しい場合の特例措置。市議会事務局によると、委員会のオンライン開催が可能になったのは県内初。市議会は新型コロナウイルスの感染問題を契機にオンラインの活用を進めていた。
改正されたのは「市議会委員会条例」と「市議会会議規則」で、議会運営委員会から改正案が提出され、全会一致で可決された。同条例には感染症のまん延などで招集が難しい場合は、「映像と音声の送受信により出席者の状態を相互に認識しながら通話できる方法」で会議を開けるとする条項が追加された。
ただし、今回の改正でオンライン参加が可能になった議事は「説明聴取・質疑・委員間討議」までで「表決」は除かれた。市議会事務局によると、会議場所にいない議員については、第三者ではなく「議員本人が表決した」という点、誰かの強要ではなく「本人の意思で表決した」という点を確認するには、課題が残ると判断された。
斎藤久代議長は本会議後、「オンラインでの会議に根拠ができたのはよかった。オンラインでの表決は、議会として今後可能性を検討したい」と話した。
同市議会は今年4月、コロナ問題を協議して市に提言する「対策会議」を設置。感染防止のために会議にはオンラインを活用した。また議会開催に当たっては、議場にいる時間を削減するため、市側からの議案説明を開会前にオンラインで実施していた。
オンラインによる地方議会の委員会開催について総務省は4月、新型コロナ感染拡大防止のために参集が困難な場合は「差し支えない」とする見解を各都道府県などに通知。大阪市議会、同府議会は既にルールを改正している。
また取手市は8月、議員にタブレット端末を貸与しており、この日初めて表決に活用して議長発議1件を可決した。
取手市議会 オンラインで委員会 茨城県内初導入 条例案を可決
茨城新聞 20200905
タブレット端末を使った表決を導入した取手市議会。議席上の表決ボタンは廃止される=同市議会議場タブレット端末を使った表決を導入した取手市議会。議席上の表決ボタンは廃止される=同市議会議場
取手市議会は4日、本会議を開き、新型コロナウイルス感染症などを含む災害有事において、オンラインで委員会開催を可能とする会議規則と条例の改正案を全会一致で原案通り可決した。新型コロナ感染症の収束が見えないことから、議会運営委員会(岩沢信委員長)が提出した。地方議会でオンライン委員会を可能としたのは全国でも珍しく、茨城県内では初めて。本会議ではほかに、別の案件で初めてタブレット端末を使った表決を行った。
オンライン開催の対象となるのは常任委員会や特別委員会で、「やむを得ない理由により招集することが困難であると委員長が認める場合、オンライン会議システムで出席することを認める」としている。感染症のほか風水害などの災害発生時も含め、有事に議会が機能不全にならないよう備えるとした。
オンライン委員会は、説明、質疑、委員間討議までとし、討論と表決は参集して行う。討論と表決を除外したことについて、岩沢委員長は「(なりすましなど)セキュリティー面を考慮した。まだ課題もあり、慎重にまずは可能なものからやっていく」と話した。
新型コロナ感染拡大を受け総務省は4月、地方議会の委員会について、開催が困難な場合には、オンラインを活用することは差し支えないとする見解を示した。コロナ禍の中、これらを受けて大阪市議会や岩手県北上市議会などがオンライン委員会を可能とするなど、全国で議会のオンライン化を進める動きが出始めている。取手市議会はオンライン本会議の実現に向け、国に意見書を提出している。
また、同市議会はICT(情報通信技術)を使った議会運営として、今定例会から全議員にタブレット端末を貸与しており、同日、議長発議による「デモテック戦略特別委員会設置の件」を端末の会議システムを使いタブレット表決し、全会一致で決定した。端末導入により、現在議席上にある表決ボタンは今月末で廃止するという。
斎藤久代議長は会議規則と委員会条例改正について「文書として公式に明記することでしっかりした根拠ができた」と話した。