女の気持ち:光輝高齢者 毎日新聞 2015年07月19日
家事、孫の世話、社交ダンス競技会、書道……と元気いっぱいだった私が脳出血で倒れて2年半。
意識もうろうとしておむつをされ、口元もへの字に曲がり、点滴をされてベッドに横たわった。
三途(さんず)の川を渡りかけて終日天井を見ていた入院当時は、私の人生もこれでおしまいか……と落ち込んだ。
でも家族、医師、友人たちに励まされ、今ではヨチヨチではあるが家事もなんとかできるようになり、主人の引率でなら外出もできるようになった。
神様は上から見ていてくださったようだ。
もう一度、孫たちにお料理を作りたい、ピアノが弾きたい、書道もやりたい、英会話も習いたいと、やりたいことだらけの私は、ひたすらリハビリをがんばっている。
がんばることは良いことだと信じていた私は、この病を得て心にゆとりを持つことの大切さを学んだ。
主人も優しくなり、友人の本当の愛が分かった。
犬や猫は嫌いだったのに、毎日お散歩に行く犬と目が合うと抱きしめたくなる私。
草花にも心を感じるようになったのは、病気になって良かったことだ。
あとどれだけ生かさせていただくか、分からないが、すべての人、物に感謝したい。
当たり前の生活のありがたさに感謝を忘れずに、後期高齢者ならず、光輝高齢者として輝いて余生を過ごしたい。