香川県の金刀比羅宮が、全国8万社の神社を包括する宗教法人、神社本庁の傘下からの離脱を決めた。
近くにもあるな・・・ 金比羅山
毎日新聞2020年6月13日 夕刊
自宅の食卓でパソコンに向かい、茨城県取手市議会の福祉厚生常任委員会で医療機関の発熱外来設置などについて協議する石井めぐみ市議(40)。小学3年の長男が分散登校期間中の休校日だったため、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」を通して出席し、「移動時間も短縮でき、議論にも集中できた」と話す。
取手市議会は全国に先駆けて議会運営の情報通信技術(ICT)化を進める。新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言を受けた対策会議を、感染防止のため4月8日から計9回、オンラインで開催。市長が定例会などに議案を提案する理由の説明も同様に実施された。
海外では、英国議会が入場制限した議場と場外の議員をインターネットで結ぶテレビ審議を既に導入している。国内では、総務省が4月30日に新型コロナウイルス対策の限定措置で地方議会の委員会をオンラインで開催可能と通知。大阪府議会などで委員会のオンライン化が可決された。
しかし、地方自治法では、議案を審議し最終的に意思決定する本会議のオンライン化は解釈上、難しい。また、議員本人の証明などの課題もある。
同市議会では3年前から育児や介護に携わる人たちの政治参加を促すため、本会議を含めた議会のICT化を進める法改正を国に働きかけてきた。建設経済常任委員会の協議に「リモート」で出席した金澤克仁市議(45)は「オンラインの活用は地方議会のなり手不足の解決にも有効」と話す。
ひと Codamaさん 地域を変える「砂場研究家」
毎日新聞2020年6月10日
「砂場研究家」を名乗り、各地の砂場を訪ねている。顕微鏡やスコップなど砂の成分を分析する道具を持ち歩く。保育園や公園の砂場作りのアドバイスをしたり、どろだんご作りのワークショップを開いたりして、「どろだんご先生」と呼ばれることもある。
2017年、勤務していた医療法人が保育園を開設することになり、園庭の砂場作りを担当したのがきっかけだ。どんな砂が子どもたちの遊び場に最も適しているか。「粒子の細かい川砂がいい。川の流れで角が丸まっていて、万一子どもの目に入っても眼球を傷つけにくいから」。だが、日本の砂場は2ミリ以上の、砂より大きい礫(れき)が入っていることが多い。「砂場は、子どもの創造力を高める遊具。でも、日本の砂場は硬く、遊びにくく、痛い。遊んでいる子どもの集中力も切れてしまう」
砂場は日本の子どもから遠ざかりつつある。1993年の都市公園法施行令改正で公園に設置義務がなくなり、95年には幼稚園設置基準からも外れた。定期的な砂の清掃などが行われず、管理が不十分で、不衛生な砂場も目立つ。
「私が訪ねた欧州諸国では、地域の人が自分たちの生活に必要な場所として、近所の公園を守っていると感じた。小さな汚れは自分たちできれいにし日々向き合っているからこそ、問題があれば声を上げ、行政にも情報が届く。私たちが関心を持って見守りましょう」。砂場から地域を変えていく。
女の気持ち おうちで冒険 東京都練馬区・山口真子
毎日新聞2020年6月10日
自粛生活の中、体力を持て余した5歳の孫の相手をすることになった。男の子だ。公園にも行けないし、どうしよう。通販で買ったまま日の目を見ていないトレーニング器具を活用することにした。「おうちアスレチック」である。
パパとママには、しばし休憩してもらうことにする。狭い家だが、それぞれの部屋に名前をつけ、動線を長くして思いきりワクワク感を演出しよう。「シュッパーツ!」
孫は元気に手すりを使って2階へ。後を追う夫はスマートフォンで動画撮影だ。第1コースはステッパー10回と自転車こぎ10回。第2コースはベッドの上で前転し、階段の手すりのないほうを使って1階へ。第3コースはリビングのソファで逆立ちし、20まで数える。
次は外の探検、宝探しだ。ザルを持った孫を「いってらっしゃい」と玄関で見送り、大急ぎで庭におやつを隠す。楽しみは多いほうがいい、とジュースとビスケットを別々に隠す。宝が見つからず焦る孫にヒントを出す。「見つけた!」。家に入り、得意げにおやつをほおばる。そこにはストレスを発散させた年長児がいた。
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コロナで幼稚園に通うことも外遊びもできなかった孫に、ばあばからのささやかな「おうちアスレチック」のプレゼント、気に入ってくれたかな。動画は大切な成長の記録となり、私たち夫婦は見るたびに幸せにひたっている。
毎日新聞 20200518
新型コロナ 子どもら、詩と音楽で元気に 取手の声楽家・岡本さんが「心の授業」動画配信
毎日新聞2020年5月18日
朗読したり、一緒に歌ったり
取手市の声楽家、岡本静子さん(72)が歌唱と詩の朗読を収めた動画「心の授業」(約40分)を動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信している。新型コロナウイルス対応で自宅待機が続く児童・生徒に向けたもの。在宅の小学生と一緒に歌う場面もあり、感受性や思いやりの気持ちを育む内容となっている。
岡本さんは2009年から、童謡詩人の金子みすゞの詩を題材にした出前授業「心の授業」を県内各地の小中学校で展開してきた。
今年は3月から2カ月以上も休校が続くため、「子どもたちを詩と音楽で元気づけたい」と考えた。10年以上の授業経験を基に、画面を通して子供に話しかけるスタイルのネット授業を発案した。
撮影は4月末、取手市教育委員会が協力し、取手小学校の音楽室で実施した。市内のピアニスト、田村愛さんが伴奏。窓の外ではハナミズキが咲き、室内に穏やかな日差しが差し込んでいた。
撮影した演奏・歌唱は5曲。このうち金子みすゞの詩による2曲は、詩の朗読もした。「詩をよく読むと、書いた人がどんなことを伝えたいのか分かってくる」と岡本さんは言う。
例えば、金子みすゞの詩「私と小鳥と鈴と」は「鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。」で終わる。岡本さんはカメラに向かって「みんな違って、みんないいってどういうことだろう?」と問いかけた。
考える時間をおき、過去の出前授業を受けた児童の感想文を読み上げた。「自分に自信を持って生きていけばいい」「人には必ず、一つはいい所がある」――。受け止め方はさまざまだ。
岡本さんは「心で感じて歌えば、心の栄養になる。心でたくさん感じ、すてきな大人になってください」と強調した。
記者の目 ユーチューバーデビュー 記者の体験に読者は興味 宮原健太(政治部)
毎日新聞2020年5月15日
私は2019年11月、動画を投稿するユーチューバーとして「デビュー」した。「ブンヤ健太の記者倶楽部」というチャンネルで20本以上の動画を制作し、今までにない記者としての情報発信の方法を模索している。見えてきたのは、記者の現場「体験」こそがネットユーザーの興味を引きつける一番の武器ということだった。
反響大きかった「ぶら下がり」
最も反響があったのは、11月24日に投稿した2本目の動画だ。テーマは「桜を見る会 そのとき官邸では…」。1日で1000回以上、2週間で約8200回も再生された。
「明細書はあるのか」
「そうしたものはない」
首相主催の桜を見る会の前夜祭について、私が首相官邸でのぶら下がり取材で問いただすと、安倍晋三首相は明言した。やりとりした実際の音声を盛り込みながら、「(前夜祭の料金を首相側が)補塡(ほてん)していない証拠がない。本当に?」と、説明のおかしさを視聴者に訴えた。
デビュー当時、私は政治部で総理番として首相の日々の動きを取材していた。国会での一問一答の集中審議を首相が避ける状況が続いたので、私は他社の総理番記者と共に、官邸を出入りする首相に質問を毎日繰り返した。首相は右手を上げるだけで足を止めることは少なかったが、数回だけ応じたことがあったのが動画の場面だ。
ユーチューバーになろうと考えた背景には、デジタル化と新聞離れの現状がある。日本新聞協会によると各年10月の新聞の発行部数(朝夕刊セット)は2009年約5035万部▽14年約4536万部▽19年約3781万部――と年を経るごとに減っている。
こうした中、新聞社も紙の新聞発行だけでなく、ネットニュースを配信して有料会員を獲得することで利益を上げようとしている。私も自分の記事をネットで読んでもらおうと、記者としてツイッターで宣伝に励んできた。
一方で通常の「硬い」新聞記事は、ネットで拡散させるのは難しいとも感じた。例えば19年参院選の際、比例代表で日本維新の会、共産、社民各党の情勢を分析する記事を書いた。維新が北海道が地盤の鈴木宗男氏ら大阪以外の地域政党と組み全国へ足場を広げる戦術など、興味深い内容になった自負もあったが、ツイッターの反応は少なかった。
逆に大きな反響があったのは、小泉進次郎衆院議員とフリーアナウンサーの滝川クリステル氏の結婚報告だ。8月7日に前触れなく官邸に来て首相らに報告した両氏を急きょ取材し、その様子や官邸での取材のあり方をツイートすると6000件以上のリツイート(拡散)があった。
話題性もあるが、読者が入ることができない官邸での取材過程を、私の「体験」を踏まえて説明したことも影響したと思う。ネットでは官邸での結婚発表に「政治利用」と批判もあったが、官邸で小泉氏らが「記者会見」を開いたのではなく、「官邸を出た政治家に記者が自主的に声をかけているため、批判は難しい」と私がツイートすると賛否両論が相次いだ。「炎上」と紙一重だったが、ネットで注目を集めた。
この経験を生かし、記事をネットで拡散させられないか。考えを重ね思いついたのは、私自身に興味を持ってもらうことだった。「インフルエンサー」という言葉のように、ネットの世界では個人として影響力を持つ人が多数いる。その一人になることができれば、有料でも記事を読んでくれるファンができるのではと考えた。そこで、個人を思い切り前面に出す動画での情報発信をすることにした。
ニュースよりも生の声に関心
ただし、桜を見る会の動画以降、同様の反響が続いたわけではない。北朝鮮のミサイル発射や憲法改正、施政方針演説を解説する動画は、数カ月たっても再生回数が1000回に満たない。単なる解説動画には私の体験が入っておらず、他の人が代わりにやっても成り立つ内容だった。
多くの人は、ニュースそのものよりも、現場で取材をした私の生の声に関心を示したのではないか。見えてきたのは、記者としての「体験」を入れられるかが、再生回数を左右することだった。桜を見る会の動画は、私が質問を投げかけ、首相が答えた音声も入れて臨場感を出し、現場の経験を踏まえて解説をしたのが好評だったようだ。
ニュースの最前線で記者がどう試行錯誤し、汗を流しているのか。取材過程のドラマを多くの人が求めている。そして体験に基づく自分の発信ができるかどうか。今後の新聞の可能性を、一人一人の記者が問われているのかもしれない。
新型コロナ 取手のネパール料理店 200円カレーで元気に 市内の小中学生に提供
毎日新聞2020年5月15日
新型コロナウイルスによる外出自粛が続く中、取手市で料理店を営むネパール人夫婦が9日、市内の小中学生を対象に200円でカレーの提供を始めた。店主のカトリ・スルヤ・バハドゥールさん(51)と妻ヒマさん(41)は、母国に残る大学生の娘がコロナによる休校でふさぎ込んでおり、「同様に大変な思いをしている日本の子どもにおいしい物で元気になってほしい」と語る。
スルヤさんは2007年に来日し、12年に同市でネパール料理店「マナシ」を開店。現在は午前11時~午後8時の短縮営業を続ける。提供を始めた子ども向けメニューは、辛さを抑えたバターチキンカレーとナン、ライスとチキンのセット。「子どもがお小遣いで買える範囲」の価格に設定した。火、木、土の週3日、午前11時~正午にテークアウトで販売する。
開店に合わせて来た中学2年、石橋泉凪さん(13)は「自分と兄弟の分を買いに来た。カレーが大好きなのでうれしい」と待ち切れない様子。小学生の孫2人を預かる女性(68)は「献立を考えるのに苦労しているのでありがたい」と笑顔だった。