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本日の紙面 取手市情報盛りだくさん

金曜日, 2月 17th, 2012
取手市議会:監査委選任の同意案再議へ ~毎日新聞20120217~
16日開かれた取手市臨時議会で、市監査委員の選任に関する同意案の採決の際、選任された議員が除斥されずに採決に加わっていたことが分かった。同市議会は3月2日開催予定の定例市議会で同意案を再議することになった。
選任されたのは入江洋一議員(53)。市議会事務局によると、地方自治法第117条の規定により、入江議員は除斥(除外)して同意案を採決しなければならないが、退席しないまま採決したという。議決は有効だが、法令に違反すると認められるため、市長は同意案を再議に付さなければならないという
取手市名誉市民:木内さん認定 「陰から野球支えたい」 ~毎日新聞20120217~
取手市は16日、県立取手二高校野球部と常総学院高校野球部の監督として、甲子園で3回の優勝を果たした同市本郷の木内幸男さん(80)を名誉市民に認定した。名誉市民は3人目。同日の臨時議会で承認された。
木内さんは1957年、取手二の監督に就任。84年の全国大会で優勝するなど甲子園での戦績は8勝5敗。85年に常総学院高校に移り、01年と03年に優勝。甲子園での戦績は32勝14敗。昨年、惜しまれつつ監督を退任した。
木内さんは記者会見で「取手二高で優勝した時、取手の名が全国的に有名になり、野球の力は大きいと驚いた」などと当時を回想。今後について「現場の戦力にはならないので、陰から野球を支えたい」と語った。
取手市:全自主防災組織に災害時優先携帯電話を配備 ~毎日新聞20120217~
取手市は16日、災害時に優先的に使用できる「災害時優先携帯電話」を市内83地区の自主防災組織全てに配備すると発表した。まず40台、その後順次配布し、1地区1台体制を整備する方針。市は全国で初の取り組みとしている。
市は災害時の連絡用と災害復旧活動を迅速に行うため、これまでに小中学校や消防署、JR、担当職員らに優先携帯を108台配布しており、この体制をより充実させる方針。
取手市予算案 2年連続減額 ~産経新聞20120217~
取手市は16日、325億7千万円の平成24年度一般会計当初予算案を発表した。市長選を控えて骨格予算だった前年度当初より1・6%減で、本格予算となった6月補正後と比べても2・5%減となり、2年連続の減額予算となった。特別会計を合わせた予算案総額は543億1700万円。
主な新規事業は、こども発達センター整備事業費1億1千万円▽小中学校耐震補強工事実施設計費2千万円▽高規格救急自動車購入費3500万円▽災害時優先携帯電話配置費125万円▽ウエルネスプラザ(仮称)整備事業費1億円▽LED防犯灯リース料2千万円-など。
10市町村で微量ストロンチウム 県、福島原発との関連否定 ~茨城新聞20120217~
プルトニウムも検出「核実験の影響か」
県は16日、昨年8〜10月に16市町村で採取した土壌の放射性物質検査の結果、県内でも微量の放射性ストロンチウムとプルトニウムを検出したが、いずれも文部科学省が実施した過去の測定結果の範囲内で、福島第1原発事故との関連は認められなかった、と発表した。県原子力安全対策課は、半減期が約50日と短く、事故との関連の裏付けとなるストロンチウム89が全地点で不検出だったことなどから「過去の核実験などの影響ではないか」と推測。「健康に影響はない」としている。
同調査は、県が放射性セシウムなどの濃度測定のため土壌を採取した38市町村のうち、地域バランスや放射線モニタリングの傾向から16市町村を選定して実施。県環境放射線監視センターで同じ土壌サンプルを用いて放射性ストロンチウムとプルトニウムの核種分析を行った。同原発80キロ圏にかかる北茨城、高萩、常陸太田の3市は文科省が調査した。
測定の結果、ストロンチウム90(半減期約29年)は10市町村で1平方メートル当たり290〜54ベクレルを検出。プルトニウムの239(同約2万4000年)と240(同約6600年)は11市町で計同15〜1・3ベクレルを検出。ストロンチウム89とプルトニウム238(同約88年)は全地点で検出下限値以下だった。
文科省が1999〜2008年度に全都道府県で実施した環境放射能水準調査では、各地で核実験の影響とみられる微量の放射性ストロンチウムとプルトニウムが検出されている。本県での測定結果はストロンチウム90が同950〜72ベクレル、プルトニウム238が同2・1ベクレル〜検出下限値以下、プルトニウム239、240の合計濃度が同90〜20ベクレルだった。
今回の結果はいずれも過去の測定結果の範囲内だったため、同課は「原発事故に伴うストロンチウム、プルトニウムの沈着は確認できなかった」とした。
ストロンチウムやプルトニウムは体内に入ると深刻な健康への影響が懸念される。ヨウ素やセシウムと比べて重いため、遠くまで飛散しないと見られていたが、県内でも飛来を心配し、測定を求める声が高まっていた。

取手市議会:監査委選任の同意案再議へ ~毎日新聞20120217~

16日開かれた取手市臨時議会で、市監査委員の選任に関する同意案の採決の際、選任された議員が除斥されずに採決に加わっていたことが分かった。同市議会は3月2日開催予定の定例市議会で同意案を再議することになった。

選任されたのは入江洋一議員(53)。市議会事務局によると、地方自治法第117条の規定により、入江議員は除斥(除外)して同意案を採決しなければならないが、退席しないまま採決したという。議決は有効だが、法令に違反すると認められるため、市長は同意案を再議に付さなければならないという

取手市名誉市民:木内さん認定 「陰から野球支えたい」 ~毎日新聞20120217~

取手市は16日、県立取手二高校野球部と常総学院高校野球部の監督として、甲子園で3回の優勝を果たした同市本郷の木内幸男さん(80)を名誉市民に認定した。名誉市民は3人目。同日の臨時議会で承認された。

木内さんは1957年、取手二の監督に就任。84年の全国大会で優勝するなど甲子園での戦績は8勝5敗。85年に常総学院高校に移り、01年と03年に優勝。甲子園での戦績は32勝14敗。昨年、惜しまれつつ監督を退任した。

木内さんは記者会見で「取手二高で優勝した時、取手の名が全国的に有名になり、野球の力は大きいと驚いた」などと当時を回想。今後について「現場の戦力にはならないので、陰から野球を支えたい」と語った。

取手市:全自主防災組織に災害時優先携帯電話を配備 ~毎日新聞20120217~

取手市は16日、災害時に優先的に使用できる「災害時優先携帯電話」を市内83地区の自主防災組織全てに配備すると発表した。まず40台、その後順次配布し、1地区1台体制を整備する方針。市は全国で初の取り組みとしている。

市は災害時の連絡用と災害復旧活動を迅速に行うため、これまでに小中学校や消防署、JR、担当職員らに優先携帯を108台配布しており、この体制をより充実させる方針。

取手市予算案 2年連続減額 ~産経新聞20120217~

取手市は16日、325億7千万円の平成24年度一般会計当初予算案を発表した。市長選を控えて骨格予算だった前年度当初より1・6%減で、本格予算となった6月補正後と比べても2・5%減となり、2年連続の減額予算となった。特別会計を合わせた予算案総額は543億1700万円。

主な新規事業は、こども発達センター整備事業費1億1千万円▽小中学校耐震補強工事実施設計費2千万円▽高規格救急自動車購入費3500万円▽災害時優先携帯電話配置費125万円▽ウエルネスプラザ(仮称)整備事業費1億円▽LED防犯灯リース料2千万円-など。

10市町村で微量ストロンチウム 県、福島原発との関連否定 ~茨城新聞20120217~

プルトニウムも検出「核実験の影響か」

県は16日、昨年8〜10月に16市町村で採取した土壌の放射性物質検査の結果、県内でも微量の放射性ストロンチウムとプルトニウムを検出したが、いずれも文部科学省が実施した過去の測定結果の範囲内で、福島第1原発事故との関連は認められなかった、と発表した。県原子力安全対策課は、半減期が約50日と短く、事故との関連の裏付けとなるストロンチウム89が全地点で不検出だったことなどから「過去の核実験などの影響ではないか」と推測。「健康に影響はない」としている。

同調査は、県が放射性セシウムなどの濃度測定のため土壌を採取した38市町村のうち、地域バランスや放射線モニタリングの傾向から16市町村を選定して実施。県環境放射線監視センターで同じ土壌サンプルを用いて放射性ストロンチウムとプルトニウムの核種分析を行った。同原発80キロ圏にかかる北茨城、高萩、常陸太田の3市は文科省が調査した。

測定の結果、ストロンチウム90(半減期約29年)は10市町村で1平方メートル当たり290〜54ベクレルを検出。プルトニウムの239(同約2万4000年)と240(同約6600年)は11市町で計同15〜1・3ベクレルを検出。ストロンチウム89とプルトニウム238(同約88年)は全地点で検出下限値以下だった。

文科省が1999〜2008年度に全都道府県で実施した環境放射能水準調査では、各地で核実験の影響とみられる微量の放射性ストロンチウムとプルトニウムが検出されている。本県での測定結果はストロンチウム90が同950〜72ベクレル、プルトニウム238が同2・1ベクレル〜検出下限値以下、プルトニウム239、240の合計濃度が同90〜20ベクレルだった。

今回の結果はいずれも過去の測定結果の範囲内だったため、同課は「原発事故に伴うストロンチウム、プルトニウムの沈着は確認できなかった」とした。

ストロンチウムやプルトニウムは体内に入ると深刻な健康への影響が懸念される。ヨウ素やセシウムと比べて重いため、遠くまで飛散しないと見られていたが、県内でも飛来を心配し、測定を求める声が高まっていた。

i-20120217

取手市 放射能汚染地図製作開始

水曜日, 2月 8th, 2012
車で走行測定スタート―取手
取手市40㍍間隔で汚染調査
福島第1原発事故による放射能の除染計画策定に向け、取手市で6日、放射線測定器を搭載した車で市内を走行し、空間放射線量を測定する作業がスタートした。1日約70㌔を約2週間かけて走行し、約40㍍間隔で測定して放射能汚染地図を作る。
放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域に指定されたことから、除染実施計画書を策定するため実施する。
住宅地なども含め市内の主な道路約651㌔をくまなく走行し、計約1万6000地点を測定する。既に市が放射線測定器計約90台を貸し出して、自治会などが昨年12月から公園や民家などで実施している測定データなどと合わせて、500㍍メッシュで汚染マップを作成する。
京都大学と国際航業が共同開発した「GPS(全地球測位システム)連動型放射線自動計測システム」で測定する。測定と汚染地図作成費は約1942万円で、すべて国が負担する。

車で走行測定スタート―取手 ~常陽新聞20120207~

取手市40㍍間隔で汚染調査

福島第1原発事故による放射能の除染計画策定に向け、取手市で6日、放射線測定器を搭載した車で市内を走行し、空間放射線量を測定する作業がスタートした。1日約70㌔を約2週間かけて走行し、約40㍍間隔で測定して放射能汚染地図を作る。

放射性物質汚染対処特措法に基づく汚染状況重点調査地域に指定されたことから、除染実施計画書を策定するため実施する。

住宅地なども含め市内の主な道路約651㌔をくまなく走行し、計約1万6000地点を測定する。既に市が放射線測定器計約90台を貸し出して、自治会などが昨年12月から公園や民家などで実施している測定データなどと合わせて、500㍍メッシュで汚染マップを作成する。

京都大学と国際航業が共同開発した「GPS(全地球測位システム)連動型放射線自動計測システム」で測定する。測定と汚染地図作成費は約1942万円で、すべて国が負担する。

2011年の日本の地震 発生地点・規模・時刻分布図

火曜日, 2月 7th, 2012

この動画は衝撃でした

世界中でこんなに地震が起こっているのですね

地震が多発している場所が一目瞭然です

2011年の日本の地震 発生地点・規模・時刻分布図

世界の地震 発生地点・規模・時刻分布図

牛乳パックキャンドルハウスワークショップにむけて

金曜日, 2月 3rd, 2012

ゆめあかり3.11

2月15日に予定されている

牛乳パックキャンドルハウスワークショップに向けて準備中

参加者募集中です http://blog.goo.ne.jp/yume-map

また、ゆめあかり3.11で使用する、1L入りの牛乳(ジュースでもOK)パックを集めています

飲み終えた形のまま譲っていただけるとありがたいです

目標本数150本です

引き取りに伺える範囲内(取手市)の方でお願いします

連絡先 yume-map@mail.goo.ne.jp 08043431718

「みどりが丘幼稚園」南相馬の幼稚園へ14万7022円を寄贈

金曜日, 2月 3rd, 2012
東日本大震災:取手の園児たち、福島・南相馬の幼稚園へ14万7022円を寄贈 /茨城
取手市本郷の「みどりが丘幼稚園」(宮本裕次園長、211人)の園児たちが、自分たちのお小遣いなどを集め、東日本大震災で被災した福島県南相馬市原町の「青葉幼稚園」(安川正理事長、50人)に、14万7022円を寄贈した。
みどりが丘幼稚園では、毎年10月にフェスティバルを開催し、園児たちが作ったメダルなどの販売金をユニセフ(国連児童基金)などに寄贈している。今年は「地震で困っている園児たちを助けよう」という意見が多く出され、災害時相互応援協定を結んでいる青葉幼稚園に贈った。
青葉幼稚園には1月31日、宮本園長と藤井信吾市長らが出向き、玄関ホールに集合した園児たちに迎えられ、園歌を一緒に歌い、折り紙で作ったメダルをプレゼントした。震災前は230人いた園児たちは、今では離ればなれになっているが「とってもうれしい。元気をもらった。ありがとう」と感謝していたという

取手の園児たち、福島・南相馬の幼稚園へ14万7022円を寄贈 ~毎日新聞20120203~

取手市本郷の「みどりが丘幼稚園」(宮本裕次園長、211人)の園児たちが、自分たちのお小遣いなどを集め、東日本大震災で被災した福島県南相馬市原町の「青葉幼稚園」(安川正理事長、50人)に、14万7022円を寄贈した。

みどりが丘幼稚園では、毎年10月にフェスティバルを開催し、園児たちが作ったメダルなどの販売金をユニセフ(国連児童基金)などに寄贈している。今年は「地震で困っている園児たちを助けよう」という意見が多く出され、災害時相互応援協定を結んでいる青葉幼稚園に贈った。

青葉幼稚園には1月31日、宮本園長と藤井信吾市長らが出向き、玄関ホールに集合した園児たちに迎えられ、園歌を一緒に歌い、折り紙で作ったメダルをプレゼントした。震災前は230人いた園児たちは、今では離ればなれになっているが「とってもうれしい。元気をもらった。ありがとう」と感謝していたという。

Dr.中川のがんの時代を暮らす

日曜日, 1月 29th, 2012
Dr.中川のがんの時代を暮らす:/24 食品での被ばくは微量
食品に含まれる放射性セシウムの基準が今年4月から大幅に厳しくなります。現在運用されている「暫定規制値」は、東京電力福島第1原発事故直後に定められたもので、食品に含まれる放射性セシウムによる内部被ばくを年間5ミリシーベルト以内にすることを目標としています。新しい基準は、これを1ミリシーベルトと5分の1に引き下げることを目指します。その結果、野菜、肉、魚などの一般食品では、現在の1キロあたり500ベクレルの上限値が、5分の1の100ベクレルに引き下げられます。
この数字は米国の基準の12分の1という厳しい値ですが、牛乳や乳児用食品はさらに少ない1キロ50ベクレルとなります。飲料水は10ベクレルと、欧州連合(EU)の20分の1、米国と比べれば120分の1となります。
一方、食品による内部被ばくが実際にはわずかであることが分かってきました。朝日新聞は1月19日朝刊で、福島と全国の家庭で、「陰膳」方式で、食べ物に含まれる放射性セシウムの量とそれによる内部被ばく量を調査した結果を報じています。食卓に並べたものと同じ食事を1食分余計に作ってもらい、3食分をまるごとミキサーにかけた上で乾燥させ、精密に測定したのです。
3食分の検出値を順に並べた真ん中の値(中央値)は、福島県で4・01ベクレル、関東地方で0・35ベクレル、西日本ではほぼゼロと、予想通りとはいえ、非常に低い数字となりました。福島県の4ベクレルは核実験が盛んだった50年前の食品中の放射能レベルに近い数字です。
福島での食事を毎日1年間食べ続けた場合の被ばく量は、中央値で0・023ミリシーベルトにとどまり、国の新基準の40分の1以下です。ホウレンソウなどに含まれる天然の放射性物質であるカリウム40による内部被ばくと比べても、その10分の1程度ですから、健康に影響が出る量ではありません。
食品からの内部被ばくは現在でも非常にわずかですから、新基準に変えても、被ばく量の減少は微量です。しかし、基準を厳格にすることで、福島の生産者は大打撃を受ける可能性があります。福島は、電力と食品の生産地として、東京と日本全体を支えてきました。今後は、東京をはじめ全国が、福島を支える番ではないかと思います。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:23 遺体の永久保存
北朝鮮の朝鮮労働党政治局は12日、金正日総書記の遺体を、父親の故金日成主席の遺体が安置されている平壌の錦繍山(クムスサン)記念宮殿に、「生前の姿で」永久保存すると発表しました。
ロシア革命の指導者レーニンの遺体は、現在もモスクワのレーニン廟(びょう)で、生前の姿のまま「展示」されています。中国の毛沢東やベトナムのホー・チ・ミンも同様です。ただし、親子2代で遺体が永久保存された例は聞いたことがありません。
私たちの身体は約60兆個の細胞からできています。そして腸の中には、100兆個ともいわれる膨大な数の細菌が「感染」しています。しかし、免疫の働きによって、生きている間は人体と細菌は「共生関係」にあり、身体が「腐る」ことはありません。しかし、死亡すると免疫の働きが失われ、死後1時間くらいすると、細菌が増殖し始め、遺体は腐っていきます。腐敗を「穢(けが)れ」と忌み嫌う日本人が、葬儀後早々に火葬をする理由の一つです。
ところが、遺体の腐敗を恐れる結果、死者に別れを告げる葬儀が慌ただしいものになってしまうという問題もあります。このため、欧米の国々では「エンバーミング」という遺体処置の方法が普及しています。キリスト教では、死者は「最後の審判」の日によみがえるという教義を持つため、遺体は重視され、「生前の姿」で土葬されるのが普通です。
エンバーミングは、古代エジプトのミイラ作りに起源をもつ遺体の防腐処置で、動脈から体内に防腐剤を注入します。これによって、2週間程度までは常温での保存が可能になります。
さらに、もっと徹底した処理を行えば保存可能な期間をさらに延ばすこともできますし、防腐剤の交換など、定期的なメンテナンスを行えば、半永久的な保存も可能になります。北朝鮮の「永久保存」も、レーニンや毛沢東らの遺体の処置をしたロシアのチームが担当している模様です。
しかし、初期の防腐処理だけで約100万ドル(約7700万円)、その後の維持に毎年80万ドル(約6200万円)もかかるといわれています。金親子は死後も北朝鮮国民にツケを回していることになります。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:24 食品での被ばくは微量

食品に含まれる放射性セシウムの基準が今年4月から大幅に厳しくなります。現在運用されている「暫定規制値」は、東京電力福島第1原発事故直後に定められたもので、食品に含まれる放射性セシウムによる内部被ばくを年間5ミリシーベルト以内にすることを目標としています。新しい基準は、これを1ミリシーベルトと5分の1に引き下げることを目指します。その結果、野菜、肉、魚などの一般食品では、現在の1キロあたり500ベクレルの上限値が、5分の1の100ベクレルに引き下げられます。

この数字は米国の基準の12分の1という厳しい値ですが、牛乳や乳児用食品はさらに少ない1キロ50ベクレルとなります。飲料水は10ベクレルと、欧州連合(EU)の20分の1、米国と比べれば120分の1となります。

一方、食品による内部被ばくが実際にはわずかであることが分かってきました。朝日新聞は1月19日朝刊で、福島と全国の家庭で、「陰膳」方式で、食べ物に含まれる放射性セシウムの量とそれによる内部被ばく量を調査した結果を報じています。食卓に並べたものと同じ食事を1食分余計に作ってもらい、3食分をまるごとミキサーにかけた上で乾燥させ、精密に測定したのです。

3食分の検出値を順に並べた真ん中の値(中央値)は、福島県で4・01ベクレル、関東地方で0・35ベクレル、西日本ではほぼゼロと、予想通りとはいえ、非常に低い数字となりました。福島県の4ベクレルは核実験が盛んだった50年前の食品中の放射能レベルに近い数字です。

福島での食事を毎日1年間食べ続けた場合の被ばく量は、中央値で0・023ミリシーベルトにとどまり、国の新基準の40分の1以下です。ホウレンソウなどに含まれる天然の放射性物質であるカリウム40による内部被ばくと比べても、その10分の1程度ですから、健康に影響が出る量ではありません。

食品からの内部被ばくは現在でも非常にわずかですから、新基準に変えても、被ばく量の減少は微量です。しかし、基準を厳格にすることで、福島の生産者は大打撃を受ける可能性があります。福島は、電力と食品の生産地として、東京と日本全体を支えてきました。今後は、東京をはじめ全国が、福島を支える番ではないかと思います。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:23 遺体の永久保存

北朝鮮の朝鮮労働党政治局は12日、金正日総書記の遺体を、父親の故金日成主席の遺体が安置されている平壌の錦繍山(クムスサン)記念宮殿に、「生前の姿で」永久保存すると発表しました。

ロシア革命の指導者レーニンの遺体は、現在もモスクワのレーニン廟(びょう)で、生前の姿のまま「展示」されています。中国の毛沢東やベトナムのホー・チ・ミンも同様です。ただし、親子2代で遺体が永久保存された例は聞いたことがありません。

私たちの身体は約60兆個の細胞からできています。そして腸の中には、100兆個ともいわれる膨大な数の細菌が「感染」しています。しかし、免疫の働きによって、生きている間は人体と細菌は「共生関係」にあり、身体が「腐る」ことはありません。しかし、死亡すると免疫の働きが失われ、死後1時間くらいすると、細菌が増殖し始め、遺体は腐っていきます。腐敗を「穢(けが)れ」と忌み嫌う日本人が、葬儀後早々に火葬をする理由の一つです。

ところが、遺体の腐敗を恐れる結果、死者に別れを告げる葬儀が慌ただしいものになってしまうという問題もあります。このため、欧米の国々では「エンバーミング」という遺体処置の方法が普及しています。キリスト教では、死者は「最後の審判」の日によみがえるという教義を持つため、遺体は重視され、「生前の姿」で土葬されるのが普通です。

エンバーミングは、古代エジプトのミイラ作りに起源をもつ遺体の防腐処置で、動脈から体内に防腐剤を注入します。これによって、2週間程度までは常温での保存が可能になります。

さらに、もっと徹底した処理を行えば保存可能な期間をさらに延ばすこともできますし、防腐剤の交換など、定期的なメンテナンスを行えば、半永久的な保存も可能になります。北朝鮮の「永久保存」も、レーニンや毛沢東らの遺体の処置をしたロシアのチームが担当している模様です。

しかし、初期の防腐処理だけで約100万ドル(約7700万円)、その後の維持に毎年80万ドル(約6200万円)もかかるといわれています。金親子は死後も北朝鮮国民にツケを回していることになります。

藤代地区に≪ゆめあかり3.11≫ポスター貼っています

金曜日, 1月 27th, 2012

伊勢屋

ゆめあかり3.11に参加していただけますように・・・

藤代地区にポスターを貼らせていただきました

コンビニ・小学校・商店さま ご協力有難うございました

ゆめあかり3.11

木曜日, 1月 26th, 2012

ポスターを貼ってくださっている皆様へ

ご協力ありがとうございます

Dr.中川のがんの時代を暮らす

日曜日, 1月 15th, 2012
Dr.中川のがんの時代を暮らす:21 「人日の節句」に思う
お正月のごちそうやお酒で胃腸の調子がよくない、という読者の人も少なくないかもしれませんが、そろそろ、おとそ気分から抜け出さないといけません。
昔の日本人にも、正月に食べ過ぎた人は多かったのでしょう。松の内が明ける1月7日の朝に、おせち料理とは打って変わって質素な「七草粥(がゆ)」を食べる風習が、江戸時代に広がりました。もともとは中国から伝わったものだそうですが、正月中のごちそうによる胃の負担をやわらげてくれますし、青菜はビタミンが豊富で、栄養バランスを整える効果もあります。野菜はがんを予防しますし、動物実験でも飽食状態のネズミは長生きできないというデータがありますから、理にかなった生活の知恵といえるでしょう。
1月7日は「人日の節句」とも呼ばれ、江戸時代に定められた五節句の一つです。他に桃の節句(3月3日)、端午の節句(5月5日)、七夕の節句(7月7日)、重陽の節句(9月9日)があります。1月7日は文字通り「人の日」で、過去1年の厄払いをして、新しい1年の無病息災と招福、長寿を願う日とされます。
七草粥のせいではないでしょうが、日本人は、男女あわせた平均寿命が83歳と、世界一の長生きになりました。幕末の日本人の平均寿命は40歳程度でしたから、明治以来の140年あまりで、平均寿命は2倍以上となったわけです。
私たち日本人は、古来の「長寿の願い」を実現しましたが、がんを急増させることにもなりました。世界一の長寿と引き換えに、日本は世界一の「がん大国」となったといえます。
がん細胞は、DNAに傷が積み重なることによって細胞が「不死化」したものですから、毎日発生するがん細胞の数は年齢とともに増えます。免疫細胞が、毎日できるがん細胞を水際で殺してくれていますが、この免疫力は年齢とともに衰えます。がんは一種の老化現象のため、高齢化が進むほど、がん患者は増えるわけです。
65歳以上が人口全体に占める割合は、現在23%程度ですが、2025年は3割、55年には4割を超えると予想されます。つまり、私たち日本人は、国民の過半数が、がんを経験する「がんの時代」を迎えることになります。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:22 「人生の仕上げ」の時間
北朝鮮の金正日総書記が先月17日に急死し、大きなニュースとなりました。父親の金日成主席と同じ心筋梗塞(こうそく)が死因と伝えられています。しかし、予期せぬ死だったため、20代後半とされる金正恩氏への政権のバトンタッチは薄氷を踏むかのようです。
伝えられている通りであれば、金総書記の死は「ピンピンコロリ」、日本人にとっても「理想的な死に方」と言われます。がんで長く苦しむより、直前までピンピン元気でコロリと息を引き取りたいというわけです。確かに、最期まで死を全く意識せずに生きることはできますが、これでは亡くなる本人も、残される周囲も「準備」ができません。
一方、がんであっても、心身の苦痛を取り去る「緩和ケア」を適切に行えば、亡くなる直前まで普通に暮らすことが可能になります。さらに、がんという病気が患者の皆さんの人生をより深めてくれるようにも思います。これは、がん患者の皆さんの死生観を調査した僕の研究結果でも明らかになっています。
がんの場合、「もう治らない」と分かってからも、年単位の時間が残ります。逆に言えば、がんによって「予見される死」は、「人生の仕上げ」の時間を与えてくれるといえます。
昨年10月に膵臓(すいぞう)がんで亡くなったスティーブ・ジョブズ氏は、最初の手術を受けた1年後の2005年に、米スタンフォード大で有名な講演をしました。
「私は毎朝、もし今日が人生最後の日だとしても、今からやろうとしていることをするだろうかと自問する。もし、『ノー』の日が続くなら、生き方を見直す必要がある。死を思うことが、重大な決断を下すときに一番役立つ。なぜなら、希望やプライド、失敗への不安などは、すべて死の前には何の意味もなさないからだ」
ジョブズ氏は、亡くなる前日も、現最高経営責任者のティム・クック氏と電話で次期製品の打ち合わせをしたと言います。死に向き合いながらも、やりたいことを続けたその生きる姿勢が、一度は倒産の危機にひんしたアップル社を、時価総額世界一に導いたのだと思います。がんという病気になったことも、彼に世界を変える力を与えたのだと確信しています。

Dr.中川のがんの時代を暮らすは、毎日新聞日曜日に連載中です。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:21 「人日の節句」に思う

お正月のごちそうやお酒で胃腸の調子がよくない、という読者の人も少なくないかもしれませんが、そろそろ、おとそ気分から抜け出さないといけません。

昔の日本人にも、正月に食べ過ぎた人は多かったのでしょう。松の内が明ける1月7日の朝に、おせち料理とは打って変わって質素な「七草粥(がゆ)」を食べる風習が、江戸時代に広がりました。もともとは中国から伝わったものだそうですが、正月中のごちそうによる胃の負担をやわらげてくれますし、青菜はビタミンが豊富で、栄養バランスを整える効果もあります。野菜はがんを予防しますし、動物実験でも飽食状態のネズミは長生きできないというデータがありますから、理にかなった生活の知恵といえるでしょう。

1月7日は「人日の節句」とも呼ばれ、江戸時代に定められた五節句の一つです。他に桃の節句(3月3日)、端午の節句(5月5日)、七夕の節句(7月7日)、重陽の節句(9月9日)があります。1月7日は文字通り「人の日」で、過去1年の厄払いをして、新しい1年の無病息災と招福、長寿を願う日とされます。

七草粥のせいではないでしょうが、日本人は、男女あわせた平均寿命が83歳と、世界一の長生きになりました。幕末の日本人の平均寿命は40歳程度でしたから、明治以来の140年あまりで、平均寿命は2倍以上となったわけです。

私たち日本人は、古来の「長寿の願い」を実現しましたが、がんを急増させることにもなりました。世界一の長寿と引き換えに、日本は世界一の「がん大国」となったといえます。

がん細胞は、DNAに傷が積み重なることによって細胞が「不死化」したものですから、毎日発生するがん細胞の数は年齢とともに増えます。免疫細胞が、毎日できるがん細胞を水際で殺してくれていますが、この免疫力は年齢とともに衰えます。がんは一種の老化現象のため、高齢化が進むほど、がん患者は増えるわけです。

65歳以上が人口全体に占める割合は、現在23%程度ですが、2025年は3割、55年には4割を超えると予想されます。つまり、私たち日本人は、国民の過半数が、がんを経験する「がんの時代」を迎えることになります。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:22 「人生の仕上げ」の時間

北朝鮮の金正日総書記が先月17日に急死し、大きなニュースとなりました。父親の金日成主席と同じ心筋梗塞(こうそく)が死因と伝えられています。しかし、予期せぬ死だったため、20代後半とされる金正恩氏への政権のバトンタッチは薄氷を踏むかのようです。

伝えられている通りであれば、金総書記の死は「ピンピンコロリ」、日本人にとっても「理想的な死に方」と言われます。がんで長く苦しむより、直前までピンピン元気でコロリと息を引き取りたいというわけです。確かに、最期まで死を全く意識せずに生きることはできますが、これでは亡くなる本人も、残される周囲も「準備」ができません。

一方、がんであっても、心身の苦痛を取り去る「緩和ケア」を適切に行えば、亡くなる直前まで普通に暮らすことが可能になります。さらに、がんという病気が患者の皆さんの人生をより深めてくれるようにも思います。これは、がん患者の皆さんの死生観を調査した僕の研究結果でも明らかになっています。

がんの場合、「もう治らない」と分かってからも、年単位の時間が残ります。逆に言えば、がんによって「予見される死」は、「人生の仕上げ」の時間を与えてくれるといえます。

昨年10月に膵臓(すいぞう)がんで亡くなったスティーブ・ジョブズ氏は、最初の手術を受けた1年後の2005年に、米スタンフォード大で有名な講演をしました。

「私は毎朝、もし今日が人生最後の日だとしても、今からやろうとしていることをするだろうかと自問する。もし、『ノー』の日が続くなら、生き方を見直す必要がある。死を思うことが、重大な決断を下すときに一番役立つ。なぜなら、希望やプライド、失敗への不安などは、すべて死の前には何の意味もなさないからだ」

ジョブズ氏は、亡くなる前日も、現最高経営責任者のティム・クック氏と電話で次期製品の打ち合わせをしたと言います。死に向き合いながらも、やりたいことを続けたその生きる姿勢が、一度は倒産の危機にひんしたアップル社を、時価総額世界一に導いたのだと思います。がんという病気になったことも、彼に世界を変える力を与えたのだと確信しています。

Dr.中川のがんの時代を暮らす

月曜日, 1月 2nd, 2012
Dr.中川のがんの時代を暮らすは、毎日新聞日曜日に連載中です。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:15 医療被ばく量、世界最多
一般市民の「被ばく限度」は、法律に基づき年1ミリシーベルトまで、と定められています。ところが、私たちは毎年1ミリシーベルト以上の被ばくをしています。年1ミリシーベルトという被ばく限度は、自然被ばくと医療被ばくを除いた線量なのです。前回お話ししたように、放射性物質を含む資源が少ない日本の自然被ばくは、年1・5ミリシーベルトと、世界平均の2・4ミリシーベルトよりもずっと低いレベルです。
一方、エックス線撮影などによる「医療被ばく」は、日本は世界で最も多く、国民1人あたりの平均被ばく量は年4ミリシーベルト程度になると見積もられています。日本の法律では、自然被ばくと医療被ばくを合計した年約5・5ミリシーベルトとは別に、年1ミリシーベルトまでの被ばくを許容しており、平均的な日本人の場合、年約6・5ミリシーベルトまでの被ばくは許容されるという内容になっています。
医療被ばくは最近20年で2倍近くに急増しています。これはCT(コンピューター断層撮影)の普及が大きな要因です。CTによる被ばく量は、検査の部位や目的によって異なりますが、1回の検査でおよそ7ミリシーベルト程度を被ばくすると言われています。3回検査を受ければ、20ミリシーベルトに達してしまいます。また、世界のCT装置の3分の1が日本にあります。
医療被ばくを含めると、日本人が浴びる放射線量は、すでにかなりのレベルになっています。しかし、医療被ばくと原発事故による被ばくを一緒にすることはできません。医療被ばくでは、病気の発見や治療など、被ばくをしても代わりに明らかなメリットがあるからです。実際、医療被ばくには「限度」はありません。また、必要な検査をいつでも受けられる医療体制が、日本人を世界一の長寿に導いた可能性もあるといえます。
一方、医療被ばくといっても、無駄な被ばくは避ける必要があります。毎年職場で実施する定期健康診断では、胸部エックス線撮影が基本的に義務づけられています。これは、1972年に制定された「労働安全衛生法」に基づくもので、結核の早期発見が主な目的ですが、この検査にはメリットが少ないとの批判もあります。原発事故の問題とともに、医療被ばくについても真剣な議論が必要だと思います。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:16 「健康都市」ヒロシマ
日本の「医療被ばく」は、国民1人あたりの年平均被ばく量が4ミリシーベルト程度と世界一です。一方、日本人の平均寿命は世界一です。必要な検査や医療をいつでも受けられる「国民皆保険制度」が、日本人を世界一の長寿に導いた可能性も指摘されています。そして、ヒロシマでは、この「医療の力」がまざまざと示されました。
広島市では、原子爆弾によって約35万人の住民のうち14万人もの人々が亡くなりました。現在は、人口約120万人の西日本有数の大都市へと復興をとげています。そして、あまり知られていませんが、日本トップレベルの「健康都市」でもあります。
広島市の女性の平均寿命は、政令指定都市の中でトップです。さらに、出生率の高さで第2位、死産率の低さでも第1位です。なお、放射線が被爆者の子孫に与える遺伝的な影響は、これまでのところ確認されていません。
なぜ、広島市民は長生きになったのでしょうか。僕が考える理由の一つが、「手厚い医療」の存在です。広島・長崎では、被ばく量と発がんに関するデータを集める目的もあり、広く定期的な健康診断が実施されたほか、「被爆者手帳」が交付されています。この手帳を交付された人は、がんはもちろん、糖尿病や風邪に至るまで、原則、無料で病院にかかることができます。この手帳を持つ人は現在22万人程度ですが、1980年には最大の37万2264人に達しました。これは、終戦時の広島市と長崎市の合計人口を上回る人数です。
無料で医療を受けられる効果は絶大です。中でも、被ばく量が少ない「入市被爆者」(爆弾投下の後に市内に入った被爆者)の場合、放射線被ばくによるマイナス面より、充実した医療のプラス面が上回り、全国平均よりも長生きになった可能性が考えられます。
ヒロシマを長寿にしたこの医療の力を、今度はフクシマでも発揮する番だと思います。ただし、病気を治し、健康を維持するための医療といっても、やみくもに提供すればよいわけではありません。「過剰検査」がかえってマイナスになることもありますので、注意が必要です。次回は、韓国を例にとりながら、この問題をお話ししたいと思います。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:17 検診向かぬ甲状腺がん
今、韓国の女性のがんで一番多いのは甲状腺がんです。2番目に多い乳がんの2倍近くに達し、さらに加速度的に増えています。
一方、日本では、甲状腺がんは珍しいがんです。日本人女性のがんは、多い順に(1)乳がん(2)大腸がん(3)胃がん(4)肺がん(5)子宮がん(6)肝臓がん(7)膵臓(すいぞう)がん……となります。甲状腺がんは10位以下です。
韓国のがん対策は10年ほど前から急ピッチで進み、がん検診受診率も6割近くに達しています。一種の検診ブームが起きているようです。一方、日本の受診率は2割程度にとどまっています。
しかし、検診もやみくもに受ければいいというわけではありませんし、全ての臓器のがんで「早期発見が有効」というわけでもありません。とりわけ、甲状腺がんは検診に向いていません。
それはなぜか。韓国で起きているのは「甲状腺がんは増えていない」が、「甲状腺がんの患者が増えている」という状態です。高齢になると、ほぼ全員が甲状腺がんを持っています。交通事故などで亡くなった人を解剖して調べた米国の研究によると、60歳代の全員に甲状腺がんが見つかりました。多くの甲状腺がんは、命にはかかわっていないということです。
問題は「がんがあるかどうか」ではなく、「がんで死ぬかどうか」です。検診の本来の目的も、がんで死ぬ確率を減らすこと。命にかかわらない小さながんをむやみに見つけることではありません。
高齢になれば、ほぼ全員が小さな甲状腺がんを持ちますから、甲状腺を詳しく検査すれば、多くの人にがんが見つかります。韓国では、乳がんの超音波検査のついでに甲状腺も調べることが多く、甲状腺がんが多数発見されるようになったのです。実際は、大半が治療しなくても命にかかわらないがんですから、不要な手術が急増することになってしまいました。手術には一定の危険性がありますから、不要な手術は、本人の不利益につながる恐れがあります。
チェルノブイリでは、小児に珍しい甲状腺がんが増えました。しかし、それを心配するあまり、福島県をはじめとする中高年の方まで甲状腺がんの検診を受ければ、がん患者が急増するでしょう。福島が適切な医療で長寿となることを願います。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:18 避難生活の健康影響
福島県内での避難区域の基準は年間あたりの被ばくが20ミリシーベルトとなっていますが、これは、チェルノブイリの経験を踏まえた国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づいた数値です。
チェルノブイリでは最終的に、年間5ミリシーベルトと、福島よりずっと厳格な基準が用いられました。しかし、原爆に被爆した広島の女性は政令指定都市のうち最も長寿となったのに対し、原発事故の後、チェルノブイリでは平均寿命が大きく下がりました。
広島は、被爆者手帳などによる手厚い医療の力が、放射線被ばくによるマイナスを上回った形ですが、チェルノブイリでは、広島では実施しなかった大規模な避難が逆効果になったと考えられています。
ロシア政府も、今年発刊したチェルノブイリに関する報告書の中で次のように避難生活の影響を記しています。
「チェルノブイリ原発事故が及ぼした社会的、経済的、精神的な影響を何倍も大きくさせてしまったのは、汚染区域を必要以上に厳格に規定した法律によるところが大きい」
「精神的ストレス、慣れ親しんだ生活様式の破壊、経済活動の制限といった事故に伴う副次的な影響のほうが、放射線被ばくよりはるかに大きな損害をもたらしたことが明らかになった」
チェルノブイリでは、牛乳などの食品の規制が遅れ、小児の甲状腺がんが増えましたが、それ以外のがんの増加は今のところ確認されていません。一方、避難民を中心に、ウクライナ、ベラルーシの平均寿命は、原発事故後に約7年も短くなりました。ロシアの政府報告書はこう結んでいます。
「チェルノブイリ原発事故の主な教訓の一つは、社会的・精神的要因の重要性が十分に評価されていなかったことである」
つまり、一般に考えられている以上に、生活環境の変化は健康に大きな影響を与えるのです。不自由な避難生活を余儀なくされている人々を思うと胸が痛みます。
もちろん、被ばくも避難も、いずれも原発事故が原因です。東京電力と政府の責任は重大です。住民と避難民の双方に十分な補償がなされるべきであることは論をまちません。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:19 水銀とセシウムの違い
福島県内などで放射線についての講演をするとき、必ず聴衆に尋ねる質問があります。「内部被ばくと外部被ばくは、どちらが怖いですか?」。いつも圧倒的に内部被ばくの方に手が挙がります。
よく話を聞くと、食品による内部被ばくは、「水俣病」を連想させるところがあるようです。水俣病は、チッソ水俣工場からの有機水銀が食物連鎖によって濃縮されたことが原因です。高濃度に汚染された魚を食べた住民の脳組織に「脂溶性」の有機水銀が沈着し、神経障害を多発させました。
一方、放射性セシウムによる内部被ばくでは、こうした「生物濃縮」は起きません。セシウムは、カリウムに近い「アルカリ金属」と呼ばれる物質です。体内に取り込まれると、カリウムと同じように全身の細胞へほぼ均等に分布します。このことは、福島県内で野生化し、安楽死となった牛の分析でも確認されています。
セシウムはカリウムと同様、尿として排せつされていきますから、乳児で9日、大人でも約3カ月で体内の量は半分になります。セシウム137の半減期は約30年なので、体外に出たセシウムは地球のどこかに存在することになりますが、有機水銀と異なり、身体に蓄積していくことはありません。
今回の原発事故によるセシウムの内部被ばくの量も、わずかであることが分かってきました。厚生労働省の7月の試算では、食品中の放射性物質による内部被ばくは、子どもであっても、事故後1年間で0・1ミリシーベルト程度であると見積もられました。
京都大などのグループが、原発周辺の住民の内部被ばく量を調べた最近の調査結果でも、最大で0・16ミリシーベルトと見積もられ、厚労省の試算が裏付けられています。
さらに、神奈川県横須賀市などでは、学校の給食を丸ごとミキサーにかけてセシウムの放射能を測定していますが、内部被ばく量は年3マイクロシーベルト程度でした。これは、天然の放射性カリウムを多く含んでいるバナナ約30本分に相当します。
食べ物に含まれる放射性カリウムによって、私たちは年0・2ミリシーベルト程度の「自然被ばく」を受けています。しかし、放射性カリウムが多くても、果物・野菜は逆にがんを防ぎます。内部被ばくを正しく理解することが必要です。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:20 DNA傷つけるラドン
地表の下に広く存在して、大陸を支える岩石の大半は、御影(みかげ)石とも呼ばれる「花こう岩」です。花こう岩は、ウランやトリウムなどの放射性物質を多く含みます。岐阜県や山口県で「自然放射線」が高いのは、花こう岩が大量にあるうえ、岩盤が露出している山岳地帯が多いためです。
日本の場合、花こう岩など大地から発生するガンマ線で年0・4ミリシーベルト程度の外部被ばくを受けています。さらに、この花こう岩からは「ラドンガス」が発生します。秋田県の玉川温泉などの「ラドン温泉」は、がん患者の皆さんにも有名ですが、温泉地や鉱山では空気中のラドン濃度が高くなっています。
天然の放射性物質であるラドンガスは、ウランがラジウム、ラドンへと「崩壊」するときに発生します。このガスを吸い込むことによって、日本では年平均0・4ミリシーベルト程度の内部被ばくが起こっています。
鉱山労働者に肺がんが多いことは以前から知られていました。体内に吸い込まれたラドンが、肺の細胞のDNAを傷つけ、肺がんの原因となると考えられます。肺がんは、年間死亡数約7万人と、日本人のがん死亡のトップです。肺がんの最大の原因は喫煙ですが、原因の第2位は、このラドンガスなのです。世界保健機関(WHO)によると、肺がんの原因の3~14%が、空気中のラドンの吸入による被ばくと言われます。たばこを吸わない人にとっては、ラドンが肺がんの原因のトップになります。
たばこの煙には、ベンゾピレンなどの発がん物質のほかに、ラドン由来の放射性物質が含まれます。ラドンが崩壊してできる「ポロニウム」など大気中の放射性物質が葉タバコに付着するため、たばこを吸うと被ばくするのです。この放射性ポロニウムは、元ロシア連邦保安庁(FSB)のリトビネンコ氏の暗殺にも使われましたが、1日にたばこを1~2箱吸うことで年0・2~0・4ミリシーベルトの被ばくを受けます。
自然被ばくの原因となっている花こう岩ですが、その形成には水が必要です。このため、地球以外の惑星にはほとんど存在しない岩石です。私たちが自然被ばくを受けるのは、「水の惑星」の住人だからなのです。

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Dr.中川のがんの時代を暮らす:15 医療被ばく量、世界最多

一般市民の「被ばく限度」は、法律に基づき年1ミリシーベルトまで、と定められています。ところが、私たちは毎年1ミリシーベルト以上の被ばくをしています。年1ミリシーベルトという被ばく限度は、自然被ばくと医療被ばくを除いた線量なのです。前回お話ししたように、放射性物質を含む資源が少ない日本の自然被ばくは、年1・5ミリシーベルトと、世界平均の2・4ミリシーベルトよりもずっと低いレベルです。

一方、エックス線撮影などによる「医療被ばく」は、日本は世界で最も多く、国民1人あたりの平均被ばく量は年4ミリシーベルト程度になると見積もられています。日本の法律では、自然被ばくと医療被ばくを合計した年約5・5ミリシーベルトとは別に、年1ミリシーベルトまでの被ばくを許容しており、平均的な日本人の場合、年約6・5ミリシーベルトまでの被ばくは許容されるという内容になっています。

医療被ばくは最近20年で2倍近くに急増しています。これはCT(コンピューター断層撮影)の普及が大きな要因です。CTによる被ばく量は、検査の部位や目的によって異なりますが、1回の検査でおよそ7ミリシーベルト程度を被ばくすると言われています。3回検査を受ければ、20ミリシーベルトに達してしまいます。また、世界のCT装置の3分の1が日本にあります。

医療被ばくを含めると、日本人が浴びる放射線量は、すでにかなりのレベルになっています。しかし、医療被ばくと原発事故による被ばくを一緒にすることはできません。医療被ばくでは、病気の発見や治療など、被ばくをしても代わりに明らかなメリットがあるからです。実際、医療被ばくには「限度」はありません。また、必要な検査をいつでも受けられる医療体制が、日本人を世界一の長寿に導いた可能性もあるといえます。

一方、医療被ばくといっても、無駄な被ばくは避ける必要があります。毎年職場で実施する定期健康診断では、胸部エックス線撮影が基本的に義務づけられています。これは、1972年に制定された「労働安全衛生法」に基づくもので、結核の早期発見が主な目的ですが、この検査にはメリットが少ないとの批判もあります。原発事故の問題とともに、医療被ばくについても真剣な議論が必要だと思います。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:16 「健康都市」ヒロシマ

日本の「医療被ばく」は、国民1人あたりの年平均被ばく量が4ミリシーベルト程度と世界一です。一方、日本人の平均寿命は世界一です。必要な検査や医療をいつでも受けられる「国民皆保険制度」が、日本人を世界一の長寿に導いた可能性も指摘されています。そして、ヒロシマでは、この「医療の力」がまざまざと示されました。

広島市では、原子爆弾によって約35万人の住民のうち14万人もの人々が亡くなりました。現在は、人口約120万人の西日本有数の大都市へと復興をとげています。そして、あまり知られていませんが、日本トップレベルの「健康都市」でもあります。

広島市の女性の平均寿命は、政令指定都市の中でトップです。さらに、出生率の高さで第2位、死産率の低さでも第1位です。なお、放射線が被爆者の子孫に与える遺伝的な影響は、これまでのところ確認されていません。

なぜ、広島市民は長生きになったのでしょうか。僕が考える理由の一つが、「手厚い医療」の存在です。広島・長崎では、被ばく量と発がんに関するデータを集める目的もあり、広く定期的な健康診断が実施されたほか、「被爆者手帳」が交付されています。この手帳を交付された人は、がんはもちろん、糖尿病や風邪に至るまで、原則、無料で病院にかかることができます。この手帳を持つ人は現在22万人程度ですが、1980年には最大の37万2264人に達しました。これは、終戦時の広島市と長崎市の合計人口を上回る人数です。

無料で医療を受けられる効果は絶大です。中でも、被ばく量が少ない「入市被爆者」(爆弾投下の後に市内に入った被爆者)の場合、放射線被ばくによるマイナス面より、充実した医療のプラス面が上回り、全国平均よりも長生きになった可能性が考えられます。

ヒロシマを長寿にしたこの医療の力を、今度はフクシマでも発揮する番だと思います。ただし、病気を治し、健康を維持するための医療といっても、やみくもに提供すればよいわけではありません。「過剰検査」がかえってマイナスになることもありますので、注意が必要です。次回は、韓国を例にとりながら、この問題をお話ししたいと思います。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:17 検診向かぬ甲状腺がん

今、韓国の女性のがんで一番多いのは甲状腺がんです。2番目に多い乳がんの2倍近くに達し、さらに加速度的に増えています。

一方、日本では、甲状腺がんは珍しいがんです。日本人女性のがんは、多い順に(1)乳がん(2)大腸がん(3)胃がん(4)肺がん(5)子宮がん(6)肝臓がん(7)膵臓(すいぞう)がん……となります。甲状腺がんは10位以下です。

韓国のがん対策は10年ほど前から急ピッチで進み、がん検診受診率も6割近くに達しています。一種の検診ブームが起きているようです。一方、日本の受診率は2割程度にとどまっています。

しかし、検診もやみくもに受ければいいというわけではありませんし、全ての臓器のがんで「早期発見が有効」というわけでもありません。とりわけ、甲状腺がんは検診に向いていません。

それはなぜか。韓国で起きているのは「甲状腺がんは増えていない」が、「甲状腺がんの患者が増えている」という状態です。高齢になると、ほぼ全員が甲状腺がんを持っています。交通事故などで亡くなった人を解剖して調べた米国の研究によると、60歳代の全員に甲状腺がんが見つかりました。多くの甲状腺がんは、命にはかかわっていないということです。

問題は「がんがあるかどうか」ではなく、「がんで死ぬかどうか」です。検診の本来の目的も、がんで死ぬ確率を減らすこと。命にかかわらない小さながんをむやみに見つけることではありません。

高齢になれば、ほぼ全員が小さな甲状腺がんを持ちますから、甲状腺を詳しく検査すれば、多くの人にがんが見つかります。韓国では、乳がんの超音波検査のついでに甲状腺も調べることが多く、甲状腺がんが多数発見されるようになったのです。実際は、大半が治療しなくても命にかかわらないがんですから、不要な手術が急増することになってしまいました。手術には一定の危険性がありますから、不要な手術は、本人の不利益につながる恐れがあります。

チェルノブイリでは、小児に珍しい甲状腺がんが増えました。しかし、それを心配するあまり、福島県をはじめとする中高年の方まで甲状腺がんの検診を受ければ、がん患者が急増するでしょう。福島が適切な医療で長寿となることを願います。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:18 避難生活の健康影響

福島県内での避難区域の基準は年間あたりの被ばくが20ミリシーベルトとなっていますが、これは、チェルノブイリの経験を踏まえた国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づいた数値です。

チェルノブイリでは最終的に、年間5ミリシーベルトと、福島よりずっと厳格な基準が用いられました。しかし、原爆に被爆した広島の女性は政令指定都市のうち最も長寿となったのに対し、原発事故の後、チェルノブイリでは平均寿命が大きく下がりました。

広島は、被爆者手帳などによる手厚い医療の力が、放射線被ばくによるマイナスを上回った形ですが、チェルノブイリでは、広島では実施しなかった大規模な避難が逆効果になったと考えられています。

ロシア政府も、今年発刊したチェルノブイリに関する報告書の中で次のように避難生活の影響を記しています。

「チェルノブイリ原発事故が及ぼした社会的、経済的、精神的な影響を何倍も大きくさせてしまったのは、汚染区域を必要以上に厳格に規定した法律によるところが大きい」

「精神的ストレス、慣れ親しんだ生活様式の破壊、経済活動の制限といった事故に伴う副次的な影響のほうが、放射線被ばくよりはるかに大きな損害をもたらしたことが明らかになった」

チェルノブイリでは、牛乳などの食品の規制が遅れ、小児の甲状腺がんが増えましたが、それ以外のがんの増加は今のところ確認されていません。一方、避難民を中心に、ウクライナ、ベラルーシの平均寿命は、原発事故後に約7年も短くなりました。ロシアの政府報告書はこう結んでいます。

「チェルノブイリ原発事故の主な教訓の一つは、社会的・精神的要因の重要性が十分に評価されていなかったことである」

つまり、一般に考えられている以上に、生活環境の変化は健康に大きな影響を与えるのです。不自由な避難生活を余儀なくされている人々を思うと胸が痛みます。

もちろん、被ばくも避難も、いずれも原発事故が原因です。東京電力と政府の責任は重大です。住民と避難民の双方に十分な補償がなされるべきであることは論をまちません。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:19 水銀とセシウムの違い

福島県内などで放射線についての講演をするとき、必ず聴衆に尋ねる質問があります。「内部被ばくと外部被ばくは、どちらが怖いですか?」。いつも圧倒的に内部被ばくの方に手が挙がります。

よく話を聞くと、食品による内部被ばくは、「水俣病」を連想させるところがあるようです。水俣病は、チッソ水俣工場からの有機水銀が食物連鎖によって濃縮されたことが原因です。高濃度に汚染された魚を食べた住民の脳組織に「脂溶性」の有機水銀が沈着し、神経障害を多発させました。

一方、放射性セシウムによる内部被ばくでは、こうした「生物濃縮」は起きません。セシウムは、カリウムに近い「アルカリ金属」と呼ばれる物質です。体内に取り込まれると、カリウムと同じように全身の細胞へほぼ均等に分布します。このことは、福島県内で野生化し、安楽死となった牛の分析でも確認されています。

セシウムはカリウムと同様、尿として排せつされていきますから、乳児で9日、大人でも約3カ月で体内の量は半分になります。セシウム137の半減期は約30年なので、体外に出たセシウムは地球のどこかに存在することになりますが、有機水銀と異なり、身体に蓄積していくことはありません。

今回の原発事故によるセシウムの内部被ばくの量も、わずかであることが分かってきました。厚生労働省の7月の試算では、食品中の放射性物質による内部被ばくは、子どもであっても、事故後1年間で0・1ミリシーベルト程度であると見積もられました。

京都大などのグループが、原発周辺の住民の内部被ばく量を調べた最近の調査結果でも、最大で0・16ミリシーベルトと見積もられ、厚労省の試算が裏付けられています。

さらに、神奈川県横須賀市などでは、学校の給食を丸ごとミキサーにかけてセシウムの放射能を測定していますが、内部被ばく量は年3マイクロシーベルト程度でした。これは、天然の放射性カリウムを多く含んでいるバナナ約30本分に相当します。

食べ物に含まれる放射性カリウムによって、私たちは年0・2ミリシーベルト程度の「自然被ばく」を受けています。しかし、放射性カリウムが多くても、果物・野菜は逆にがんを防ぎます。内部被ばくを正しく理解することが必要です。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:20 DNA傷つけるラドン

地表の下に広く存在して、大陸を支える岩石の大半は、御影(みかげ)石とも呼ばれる「花こう岩」です。花こう岩は、ウランやトリウムなどの放射性物質を多く含みます。岐阜県や山口県で「自然放射線」が高いのは、花こう岩が大量にあるうえ、岩盤が露出している山岳地帯が多いためです。

日本の場合、花こう岩など大地から発生するガンマ線で年0・4ミリシーベルト程度の外部被ばくを受けています。さらに、この花こう岩からは「ラドンガス」が発生します。秋田県の玉川温泉などの「ラドン温泉」は、がん患者の皆さんにも有名ですが、温泉地や鉱山では空気中のラドン濃度が高くなっています。

天然の放射性物質であるラドンガスは、ウランがラジウム、ラドンへと「崩壊」するときに発生します。このガスを吸い込むことによって、日本では年平均0・4ミリシーベルト程度の内部被ばくが起こっています。

鉱山労働者に肺がんが多いことは以前から知られていました。体内に吸い込まれたラドンが、肺の細胞のDNAを傷つけ、肺がんの原因となると考えられます。肺がんは、年間死亡数約7万人と、日本人のがん死亡のトップです。肺がんの最大の原因は喫煙ですが、原因の第2位は、このラドンガスなのです。世界保健機関(WHO)によると、肺がんの原因の3~14%が、空気中のラドンの吸入による被ばくと言われます。たばこを吸わない人にとっては、ラドンが肺がんの原因のトップになります。

たばこの煙には、ベンゾピレンなどの発がん物質のほかに、ラドン由来の放射性物質が含まれます。ラドンが崩壊してできる「ポロニウム」など大気中の放射性物質が葉タバコに付着するため、たばこを吸うと被ばくするのです。この放射性ポロニウムは、元ロシア連邦保安庁(FSB)のリトビネンコ氏の暗殺にも使われましたが、1日にたばこを1~2箱吸うことで年0・2~0・4ミリシーベルトの被ばくを受けます。

自然被ばくの原因となっている花こう岩ですが、その形成には水が必要です。このため、地球以外の惑星にはほとんど存在しない岩石です。私たちが自然被ばくを受けるのは、「水の惑星」の住人だからなのです。