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Dr.中川のがんの時代を暮らす

月曜日, 1月 2nd, 2012
Dr.中川のがんの時代を暮らすは、毎日新聞日曜日に連載中です。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:15 医療被ばく量、世界最多
一般市民の「被ばく限度」は、法律に基づき年1ミリシーベルトまで、と定められています。ところが、私たちは毎年1ミリシーベルト以上の被ばくをしています。年1ミリシーベルトという被ばく限度は、自然被ばくと医療被ばくを除いた線量なのです。前回お話ししたように、放射性物質を含む資源が少ない日本の自然被ばくは、年1・5ミリシーベルトと、世界平均の2・4ミリシーベルトよりもずっと低いレベルです。
一方、エックス線撮影などによる「医療被ばく」は、日本は世界で最も多く、国民1人あたりの平均被ばく量は年4ミリシーベルト程度になると見積もられています。日本の法律では、自然被ばくと医療被ばくを合計した年約5・5ミリシーベルトとは別に、年1ミリシーベルトまでの被ばくを許容しており、平均的な日本人の場合、年約6・5ミリシーベルトまでの被ばくは許容されるという内容になっています。
医療被ばくは最近20年で2倍近くに急増しています。これはCT(コンピューター断層撮影)の普及が大きな要因です。CTによる被ばく量は、検査の部位や目的によって異なりますが、1回の検査でおよそ7ミリシーベルト程度を被ばくすると言われています。3回検査を受ければ、20ミリシーベルトに達してしまいます。また、世界のCT装置の3分の1が日本にあります。
医療被ばくを含めると、日本人が浴びる放射線量は、すでにかなりのレベルになっています。しかし、医療被ばくと原発事故による被ばくを一緒にすることはできません。医療被ばくでは、病気の発見や治療など、被ばくをしても代わりに明らかなメリットがあるからです。実際、医療被ばくには「限度」はありません。また、必要な検査をいつでも受けられる医療体制が、日本人を世界一の長寿に導いた可能性もあるといえます。
一方、医療被ばくといっても、無駄な被ばくは避ける必要があります。毎年職場で実施する定期健康診断では、胸部エックス線撮影が基本的に義務づけられています。これは、1972年に制定された「労働安全衛生法」に基づくもので、結核の早期発見が主な目的ですが、この検査にはメリットが少ないとの批判もあります。原発事故の問題とともに、医療被ばくについても真剣な議論が必要だと思います。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:16 「健康都市」ヒロシマ
日本の「医療被ばく」は、国民1人あたりの年平均被ばく量が4ミリシーベルト程度と世界一です。一方、日本人の平均寿命は世界一です。必要な検査や医療をいつでも受けられる「国民皆保険制度」が、日本人を世界一の長寿に導いた可能性も指摘されています。そして、ヒロシマでは、この「医療の力」がまざまざと示されました。
広島市では、原子爆弾によって約35万人の住民のうち14万人もの人々が亡くなりました。現在は、人口約120万人の西日本有数の大都市へと復興をとげています。そして、あまり知られていませんが、日本トップレベルの「健康都市」でもあります。
広島市の女性の平均寿命は、政令指定都市の中でトップです。さらに、出生率の高さで第2位、死産率の低さでも第1位です。なお、放射線が被爆者の子孫に与える遺伝的な影響は、これまでのところ確認されていません。
なぜ、広島市民は長生きになったのでしょうか。僕が考える理由の一つが、「手厚い医療」の存在です。広島・長崎では、被ばく量と発がんに関するデータを集める目的もあり、広く定期的な健康診断が実施されたほか、「被爆者手帳」が交付されています。この手帳を交付された人は、がんはもちろん、糖尿病や風邪に至るまで、原則、無料で病院にかかることができます。この手帳を持つ人は現在22万人程度ですが、1980年には最大の37万2264人に達しました。これは、終戦時の広島市と長崎市の合計人口を上回る人数です。
無料で医療を受けられる効果は絶大です。中でも、被ばく量が少ない「入市被爆者」(爆弾投下の後に市内に入った被爆者)の場合、放射線被ばくによるマイナス面より、充実した医療のプラス面が上回り、全国平均よりも長生きになった可能性が考えられます。
ヒロシマを長寿にしたこの医療の力を、今度はフクシマでも発揮する番だと思います。ただし、病気を治し、健康を維持するための医療といっても、やみくもに提供すればよいわけではありません。「過剰検査」がかえってマイナスになることもありますので、注意が必要です。次回は、韓国を例にとりながら、この問題をお話ししたいと思います。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:17 検診向かぬ甲状腺がん
今、韓国の女性のがんで一番多いのは甲状腺がんです。2番目に多い乳がんの2倍近くに達し、さらに加速度的に増えています。
一方、日本では、甲状腺がんは珍しいがんです。日本人女性のがんは、多い順に(1)乳がん(2)大腸がん(3)胃がん(4)肺がん(5)子宮がん(6)肝臓がん(7)膵臓(すいぞう)がん……となります。甲状腺がんは10位以下です。
韓国のがん対策は10年ほど前から急ピッチで進み、がん検診受診率も6割近くに達しています。一種の検診ブームが起きているようです。一方、日本の受診率は2割程度にとどまっています。
しかし、検診もやみくもに受ければいいというわけではありませんし、全ての臓器のがんで「早期発見が有効」というわけでもありません。とりわけ、甲状腺がんは検診に向いていません。
それはなぜか。韓国で起きているのは「甲状腺がんは増えていない」が、「甲状腺がんの患者が増えている」という状態です。高齢になると、ほぼ全員が甲状腺がんを持っています。交通事故などで亡くなった人を解剖して調べた米国の研究によると、60歳代の全員に甲状腺がんが見つかりました。多くの甲状腺がんは、命にはかかわっていないということです。
問題は「がんがあるかどうか」ではなく、「がんで死ぬかどうか」です。検診の本来の目的も、がんで死ぬ確率を減らすこと。命にかかわらない小さながんをむやみに見つけることではありません。
高齢になれば、ほぼ全員が小さな甲状腺がんを持ちますから、甲状腺を詳しく検査すれば、多くの人にがんが見つかります。韓国では、乳がんの超音波検査のついでに甲状腺も調べることが多く、甲状腺がんが多数発見されるようになったのです。実際は、大半が治療しなくても命にかかわらないがんですから、不要な手術が急増することになってしまいました。手術には一定の危険性がありますから、不要な手術は、本人の不利益につながる恐れがあります。
チェルノブイリでは、小児に珍しい甲状腺がんが増えました。しかし、それを心配するあまり、福島県をはじめとする中高年の方まで甲状腺がんの検診を受ければ、がん患者が急増するでしょう。福島が適切な医療で長寿となることを願います。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:18 避難生活の健康影響
福島県内での避難区域の基準は年間あたりの被ばくが20ミリシーベルトとなっていますが、これは、チェルノブイリの経験を踏まえた国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づいた数値です。
チェルノブイリでは最終的に、年間5ミリシーベルトと、福島よりずっと厳格な基準が用いられました。しかし、原爆に被爆した広島の女性は政令指定都市のうち最も長寿となったのに対し、原発事故の後、チェルノブイリでは平均寿命が大きく下がりました。
広島は、被爆者手帳などによる手厚い医療の力が、放射線被ばくによるマイナスを上回った形ですが、チェルノブイリでは、広島では実施しなかった大規模な避難が逆効果になったと考えられています。
ロシア政府も、今年発刊したチェルノブイリに関する報告書の中で次のように避難生活の影響を記しています。
「チェルノブイリ原発事故が及ぼした社会的、経済的、精神的な影響を何倍も大きくさせてしまったのは、汚染区域を必要以上に厳格に規定した法律によるところが大きい」
「精神的ストレス、慣れ親しんだ生活様式の破壊、経済活動の制限といった事故に伴う副次的な影響のほうが、放射線被ばくよりはるかに大きな損害をもたらしたことが明らかになった」
チェルノブイリでは、牛乳などの食品の規制が遅れ、小児の甲状腺がんが増えましたが、それ以外のがんの増加は今のところ確認されていません。一方、避難民を中心に、ウクライナ、ベラルーシの平均寿命は、原発事故後に約7年も短くなりました。ロシアの政府報告書はこう結んでいます。
「チェルノブイリ原発事故の主な教訓の一つは、社会的・精神的要因の重要性が十分に評価されていなかったことである」
つまり、一般に考えられている以上に、生活環境の変化は健康に大きな影響を与えるのです。不自由な避難生活を余儀なくされている人々を思うと胸が痛みます。
もちろん、被ばくも避難も、いずれも原発事故が原因です。東京電力と政府の責任は重大です。住民と避難民の双方に十分な補償がなされるべきであることは論をまちません。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:19 水銀とセシウムの違い
福島県内などで放射線についての講演をするとき、必ず聴衆に尋ねる質問があります。「内部被ばくと外部被ばくは、どちらが怖いですか?」。いつも圧倒的に内部被ばくの方に手が挙がります。
よく話を聞くと、食品による内部被ばくは、「水俣病」を連想させるところがあるようです。水俣病は、チッソ水俣工場からの有機水銀が食物連鎖によって濃縮されたことが原因です。高濃度に汚染された魚を食べた住民の脳組織に「脂溶性」の有機水銀が沈着し、神経障害を多発させました。
一方、放射性セシウムによる内部被ばくでは、こうした「生物濃縮」は起きません。セシウムは、カリウムに近い「アルカリ金属」と呼ばれる物質です。体内に取り込まれると、カリウムと同じように全身の細胞へほぼ均等に分布します。このことは、福島県内で野生化し、安楽死となった牛の分析でも確認されています。
セシウムはカリウムと同様、尿として排せつされていきますから、乳児で9日、大人でも約3カ月で体内の量は半分になります。セシウム137の半減期は約30年なので、体外に出たセシウムは地球のどこかに存在することになりますが、有機水銀と異なり、身体に蓄積していくことはありません。
今回の原発事故によるセシウムの内部被ばくの量も、わずかであることが分かってきました。厚生労働省の7月の試算では、食品中の放射性物質による内部被ばくは、子どもであっても、事故後1年間で0・1ミリシーベルト程度であると見積もられました。
京都大などのグループが、原発周辺の住民の内部被ばく量を調べた最近の調査結果でも、最大で0・16ミリシーベルトと見積もられ、厚労省の試算が裏付けられています。
さらに、神奈川県横須賀市などでは、学校の給食を丸ごとミキサーにかけてセシウムの放射能を測定していますが、内部被ばく量は年3マイクロシーベルト程度でした。これは、天然の放射性カリウムを多く含んでいるバナナ約30本分に相当します。
食べ物に含まれる放射性カリウムによって、私たちは年0・2ミリシーベルト程度の「自然被ばく」を受けています。しかし、放射性カリウムが多くても、果物・野菜は逆にがんを防ぎます。内部被ばくを正しく理解することが必要です。
Dr.中川のがんの時代を暮らす:20 DNA傷つけるラドン
地表の下に広く存在して、大陸を支える岩石の大半は、御影(みかげ)石とも呼ばれる「花こう岩」です。花こう岩は、ウランやトリウムなどの放射性物質を多く含みます。岐阜県や山口県で「自然放射線」が高いのは、花こう岩が大量にあるうえ、岩盤が露出している山岳地帯が多いためです。
日本の場合、花こう岩など大地から発生するガンマ線で年0・4ミリシーベルト程度の外部被ばくを受けています。さらに、この花こう岩からは「ラドンガス」が発生します。秋田県の玉川温泉などの「ラドン温泉」は、がん患者の皆さんにも有名ですが、温泉地や鉱山では空気中のラドン濃度が高くなっています。
天然の放射性物質であるラドンガスは、ウランがラジウム、ラドンへと「崩壊」するときに発生します。このガスを吸い込むことによって、日本では年平均0・4ミリシーベルト程度の内部被ばくが起こっています。
鉱山労働者に肺がんが多いことは以前から知られていました。体内に吸い込まれたラドンが、肺の細胞のDNAを傷つけ、肺がんの原因となると考えられます。肺がんは、年間死亡数約7万人と、日本人のがん死亡のトップです。肺がんの最大の原因は喫煙ですが、原因の第2位は、このラドンガスなのです。世界保健機関(WHO)によると、肺がんの原因の3~14%が、空気中のラドンの吸入による被ばくと言われます。たばこを吸わない人にとっては、ラドンが肺がんの原因のトップになります。
たばこの煙には、ベンゾピレンなどの発がん物質のほかに、ラドン由来の放射性物質が含まれます。ラドンが崩壊してできる「ポロニウム」など大気中の放射性物質が葉タバコに付着するため、たばこを吸うと被ばくするのです。この放射性ポロニウムは、元ロシア連邦保安庁(FSB)のリトビネンコ氏の暗殺にも使われましたが、1日にたばこを1~2箱吸うことで年0・2~0・4ミリシーベルトの被ばくを受けます。
自然被ばくの原因となっている花こう岩ですが、その形成には水が必要です。このため、地球以外の惑星にはほとんど存在しない岩石です。私たちが自然被ばくを受けるのは、「水の惑星」の住人だからなのです。

Dr.中川のがんの時代を暮らすは、毎日新聞日曜日に連載中です。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:15 医療被ばく量、世界最多

一般市民の「被ばく限度」は、法律に基づき年1ミリシーベルトまで、と定められています。ところが、私たちは毎年1ミリシーベルト以上の被ばくをしています。年1ミリシーベルトという被ばく限度は、自然被ばくと医療被ばくを除いた線量なのです。前回お話ししたように、放射性物質を含む資源が少ない日本の自然被ばくは、年1・5ミリシーベルトと、世界平均の2・4ミリシーベルトよりもずっと低いレベルです。

一方、エックス線撮影などによる「医療被ばく」は、日本は世界で最も多く、国民1人あたりの平均被ばく量は年4ミリシーベルト程度になると見積もられています。日本の法律では、自然被ばくと医療被ばくを合計した年約5・5ミリシーベルトとは別に、年1ミリシーベルトまでの被ばくを許容しており、平均的な日本人の場合、年約6・5ミリシーベルトまでの被ばくは許容されるという内容になっています。

医療被ばくは最近20年で2倍近くに急増しています。これはCT(コンピューター断層撮影)の普及が大きな要因です。CTによる被ばく量は、検査の部位や目的によって異なりますが、1回の検査でおよそ7ミリシーベルト程度を被ばくすると言われています。3回検査を受ければ、20ミリシーベルトに達してしまいます。また、世界のCT装置の3分の1が日本にあります。

医療被ばくを含めると、日本人が浴びる放射線量は、すでにかなりのレベルになっています。しかし、医療被ばくと原発事故による被ばくを一緒にすることはできません。医療被ばくでは、病気の発見や治療など、被ばくをしても代わりに明らかなメリットがあるからです。実際、医療被ばくには「限度」はありません。また、必要な検査をいつでも受けられる医療体制が、日本人を世界一の長寿に導いた可能性もあるといえます。

一方、医療被ばくといっても、無駄な被ばくは避ける必要があります。毎年職場で実施する定期健康診断では、胸部エックス線撮影が基本的に義務づけられています。これは、1972年に制定された「労働安全衛生法」に基づくもので、結核の早期発見が主な目的ですが、この検査にはメリットが少ないとの批判もあります。原発事故の問題とともに、医療被ばくについても真剣な議論が必要だと思います。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:16 「健康都市」ヒロシマ

日本の「医療被ばく」は、国民1人あたりの年平均被ばく量が4ミリシーベルト程度と世界一です。一方、日本人の平均寿命は世界一です。必要な検査や医療をいつでも受けられる「国民皆保険制度」が、日本人を世界一の長寿に導いた可能性も指摘されています。そして、ヒロシマでは、この「医療の力」がまざまざと示されました。

広島市では、原子爆弾によって約35万人の住民のうち14万人もの人々が亡くなりました。現在は、人口約120万人の西日本有数の大都市へと復興をとげています。そして、あまり知られていませんが、日本トップレベルの「健康都市」でもあります。

広島市の女性の平均寿命は、政令指定都市の中でトップです。さらに、出生率の高さで第2位、死産率の低さでも第1位です。なお、放射線が被爆者の子孫に与える遺伝的な影響は、これまでのところ確認されていません。

なぜ、広島市民は長生きになったのでしょうか。僕が考える理由の一つが、「手厚い医療」の存在です。広島・長崎では、被ばく量と発がんに関するデータを集める目的もあり、広く定期的な健康診断が実施されたほか、「被爆者手帳」が交付されています。この手帳を交付された人は、がんはもちろん、糖尿病や風邪に至るまで、原則、無料で病院にかかることができます。この手帳を持つ人は現在22万人程度ですが、1980年には最大の37万2264人に達しました。これは、終戦時の広島市と長崎市の合計人口を上回る人数です。

無料で医療を受けられる効果は絶大です。中でも、被ばく量が少ない「入市被爆者」(爆弾投下の後に市内に入った被爆者)の場合、放射線被ばくによるマイナス面より、充実した医療のプラス面が上回り、全国平均よりも長生きになった可能性が考えられます。

ヒロシマを長寿にしたこの医療の力を、今度はフクシマでも発揮する番だと思います。ただし、病気を治し、健康を維持するための医療といっても、やみくもに提供すればよいわけではありません。「過剰検査」がかえってマイナスになることもありますので、注意が必要です。次回は、韓国を例にとりながら、この問題をお話ししたいと思います。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:17 検診向かぬ甲状腺がん

今、韓国の女性のがんで一番多いのは甲状腺がんです。2番目に多い乳がんの2倍近くに達し、さらに加速度的に増えています。

一方、日本では、甲状腺がんは珍しいがんです。日本人女性のがんは、多い順に(1)乳がん(2)大腸がん(3)胃がん(4)肺がん(5)子宮がん(6)肝臓がん(7)膵臓(すいぞう)がん……となります。甲状腺がんは10位以下です。

韓国のがん対策は10年ほど前から急ピッチで進み、がん検診受診率も6割近くに達しています。一種の検診ブームが起きているようです。一方、日本の受診率は2割程度にとどまっています。

しかし、検診もやみくもに受ければいいというわけではありませんし、全ての臓器のがんで「早期発見が有効」というわけでもありません。とりわけ、甲状腺がんは検診に向いていません。

それはなぜか。韓国で起きているのは「甲状腺がんは増えていない」が、「甲状腺がんの患者が増えている」という状態です。高齢になると、ほぼ全員が甲状腺がんを持っています。交通事故などで亡くなった人を解剖して調べた米国の研究によると、60歳代の全員に甲状腺がんが見つかりました。多くの甲状腺がんは、命にはかかわっていないということです。

問題は「がんがあるかどうか」ではなく、「がんで死ぬかどうか」です。検診の本来の目的も、がんで死ぬ確率を減らすこと。命にかかわらない小さながんをむやみに見つけることではありません。

高齢になれば、ほぼ全員が小さな甲状腺がんを持ちますから、甲状腺を詳しく検査すれば、多くの人にがんが見つかります。韓国では、乳がんの超音波検査のついでに甲状腺も調べることが多く、甲状腺がんが多数発見されるようになったのです。実際は、大半が治療しなくても命にかかわらないがんですから、不要な手術が急増することになってしまいました。手術には一定の危険性がありますから、不要な手術は、本人の不利益につながる恐れがあります。

チェルノブイリでは、小児に珍しい甲状腺がんが増えました。しかし、それを心配するあまり、福島県をはじめとする中高年の方まで甲状腺がんの検診を受ければ、がん患者が急増するでしょう。福島が適切な医療で長寿となることを願います。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:18 避難生活の健康影響

福島県内での避難区域の基準は年間あたりの被ばくが20ミリシーベルトとなっていますが、これは、チェルノブイリの経験を踏まえた国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づいた数値です。

チェルノブイリでは最終的に、年間5ミリシーベルトと、福島よりずっと厳格な基準が用いられました。しかし、原爆に被爆した広島の女性は政令指定都市のうち最も長寿となったのに対し、原発事故の後、チェルノブイリでは平均寿命が大きく下がりました。

広島は、被爆者手帳などによる手厚い医療の力が、放射線被ばくによるマイナスを上回った形ですが、チェルノブイリでは、広島では実施しなかった大規模な避難が逆効果になったと考えられています。

ロシア政府も、今年発刊したチェルノブイリに関する報告書の中で次のように避難生活の影響を記しています。

「チェルノブイリ原発事故が及ぼした社会的、経済的、精神的な影響を何倍も大きくさせてしまったのは、汚染区域を必要以上に厳格に規定した法律によるところが大きい」

「精神的ストレス、慣れ親しんだ生活様式の破壊、経済活動の制限といった事故に伴う副次的な影響のほうが、放射線被ばくよりはるかに大きな損害をもたらしたことが明らかになった」

チェルノブイリでは、牛乳などの食品の規制が遅れ、小児の甲状腺がんが増えましたが、それ以外のがんの増加は今のところ確認されていません。一方、避難民を中心に、ウクライナ、ベラルーシの平均寿命は、原発事故後に約7年も短くなりました。ロシアの政府報告書はこう結んでいます。

「チェルノブイリ原発事故の主な教訓の一つは、社会的・精神的要因の重要性が十分に評価されていなかったことである」

つまり、一般に考えられている以上に、生活環境の変化は健康に大きな影響を与えるのです。不自由な避難生活を余儀なくされている人々を思うと胸が痛みます。

もちろん、被ばくも避難も、いずれも原発事故が原因です。東京電力と政府の責任は重大です。住民と避難民の双方に十分な補償がなされるべきであることは論をまちません。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:19 水銀とセシウムの違い

福島県内などで放射線についての講演をするとき、必ず聴衆に尋ねる質問があります。「内部被ばくと外部被ばくは、どちらが怖いですか?」。いつも圧倒的に内部被ばくの方に手が挙がります。

よく話を聞くと、食品による内部被ばくは、「水俣病」を連想させるところがあるようです。水俣病は、チッソ水俣工場からの有機水銀が食物連鎖によって濃縮されたことが原因です。高濃度に汚染された魚を食べた住民の脳組織に「脂溶性」の有機水銀が沈着し、神経障害を多発させました。

一方、放射性セシウムによる内部被ばくでは、こうした「生物濃縮」は起きません。セシウムは、カリウムに近い「アルカリ金属」と呼ばれる物質です。体内に取り込まれると、カリウムと同じように全身の細胞へほぼ均等に分布します。このことは、福島県内で野生化し、安楽死となった牛の分析でも確認されています。

セシウムはカリウムと同様、尿として排せつされていきますから、乳児で9日、大人でも約3カ月で体内の量は半分になります。セシウム137の半減期は約30年なので、体外に出たセシウムは地球のどこかに存在することになりますが、有機水銀と異なり、身体に蓄積していくことはありません。

今回の原発事故によるセシウムの内部被ばくの量も、わずかであることが分かってきました。厚生労働省の7月の試算では、食品中の放射性物質による内部被ばくは、子どもであっても、事故後1年間で0・1ミリシーベルト程度であると見積もられました。

京都大などのグループが、原発周辺の住民の内部被ばく量を調べた最近の調査結果でも、最大で0・16ミリシーベルトと見積もられ、厚労省の試算が裏付けられています。

さらに、神奈川県横須賀市などでは、学校の給食を丸ごとミキサーにかけてセシウムの放射能を測定していますが、内部被ばく量は年3マイクロシーベルト程度でした。これは、天然の放射性カリウムを多く含んでいるバナナ約30本分に相当します。

食べ物に含まれる放射性カリウムによって、私たちは年0・2ミリシーベルト程度の「自然被ばく」を受けています。しかし、放射性カリウムが多くても、果物・野菜は逆にがんを防ぎます。内部被ばくを正しく理解することが必要です。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:20 DNA傷つけるラドン

地表の下に広く存在して、大陸を支える岩石の大半は、御影(みかげ)石とも呼ばれる「花こう岩」です。花こう岩は、ウランやトリウムなどの放射性物質を多く含みます。岐阜県や山口県で「自然放射線」が高いのは、花こう岩が大量にあるうえ、岩盤が露出している山岳地帯が多いためです。

日本の場合、花こう岩など大地から発生するガンマ線で年0・4ミリシーベルト程度の外部被ばくを受けています。さらに、この花こう岩からは「ラドンガス」が発生します。秋田県の玉川温泉などの「ラドン温泉」は、がん患者の皆さんにも有名ですが、温泉地や鉱山では空気中のラドン濃度が高くなっています。

天然の放射性物質であるラドンガスは、ウランがラジウム、ラドンへと「崩壊」するときに発生します。このガスを吸い込むことによって、日本では年平均0・4ミリシーベルト程度の内部被ばくが起こっています。

鉱山労働者に肺がんが多いことは以前から知られていました。体内に吸い込まれたラドンが、肺の細胞のDNAを傷つけ、肺がんの原因となると考えられます。肺がんは、年間死亡数約7万人と、日本人のがん死亡のトップです。肺がんの最大の原因は喫煙ですが、原因の第2位は、このラドンガスなのです。世界保健機関(WHO)によると、肺がんの原因の3~14%が、空気中のラドンの吸入による被ばくと言われます。たばこを吸わない人にとっては、ラドンが肺がんの原因のトップになります。

たばこの煙には、ベンゾピレンなどの発がん物質のほかに、ラドン由来の放射性物質が含まれます。ラドンが崩壊してできる「ポロニウム」など大気中の放射性物質が葉タバコに付着するため、たばこを吸うと被ばくするのです。この放射性ポロニウムは、元ロシア連邦保安庁(FSB)のリトビネンコ氏の暗殺にも使われましたが、1日にたばこを1~2箱吸うことで年0・2~0・4ミリシーベルトの被ばくを受けます。

自然被ばくの原因となっている花こう岩ですが、その形成には水が必要です。このため、地球以外の惑星にはほとんど存在しない岩石です。私たちが自然被ばくを受けるのは、「水の惑星」の住人だからなのです。

12月31日年越しイベント「HOPE」山下公園で開催

土曜日, 12月 31st, 2011

横浜市は12月31日、光のメッセージによる年越しイベント「HOPE」を山下公園で開催する。市内では、ライブやイベントなど様々な年越しイベントが行われているが、「こういう年だったので、市として復興のメッセージを送りたい」(横浜市文化観光局横浜魅力づくり室)考えだ。年間500万人の観光客が訪れる山下公園は、関東大震災によるがれきを使って海を埋め立ててつくられ、“震災復興の象徴”と言われてきたことから、会場として選ばれた。横浜市がこのような年越しイベントを開催するのは初めてで、NHK「ゆく年くる年」の中継も予定されている。

当日は約2000個のキャンドルで「HOPE」の文字を形づくるほか、約3000個の電池式LEDを果実袋で包み、樹木に飾り付けるイルミネーション「ひかりの実」を実施する。

「ひかりの実」は、アーティストの高橋匡太氏が描いた丸い線の中に、思い思いのスマイルやメッセージを書くことができるもの。横浜市では12月23日から3日間、市内小学校の協力により、「被災地に笑顔を送る」ため、子どもたちが笑顔を描いた「ひかりの実」の一部を陸前高田市に送って現地で展示しており、これらも大晦日に山下公園で飾られる予定。

NHK「ゆく年くる年」観なきゃ!

除染実施計画で基本方針 取手市、県内初の策定

水曜日, 12月 28th, 2011
除染実施計画で基本方針
取手市、県内初の策定
福島第1原発事故の対策について、取手市は27日、市全域を対象にした除染実施計画の基本方針を策定したと発表した。同市は、来年1月施行の放射性物質汚染対処特措法の重点調査地域に指定される県内20市町村の一つ。基本方針を策定したのは県内で初めて。
基本方針は、除染の目標、実施期間、優先順位、実施主体、除染方法、汚染土壌の取り扱いなどについて定めた。除染費用は国が負担する。
ただし除染を進める上で最大の課題となる、除去した汚染土壌の仮置き場についてはまだ決まっておらず、同市は、第2段階である実施計画を策定する来年1月末までに、市内に選定したいとしている。
除染に着手するのは、実施計画策定後の来年2月からで、空間放射線量が毎時0・23マイクロシーベルトを下回るよう、14年3月末まで2年間掛けて除染に取り組む。除染を進める優先順位は、保育園、幼稚園や小中学校、高校、大学など、子どもが生活する環境を最優先にする―などとしている。
公共施設は市などが主体となって除染する。民有地については除染費用の負担がまだ詳細に決まっていないことから、国と協議しながら検討するとしている。市民が民家などを除染するに当たっては、土のう袋の配布などを準備しているという。
除染方法は、表土の削り取りや入れ替え、雨どい下や側溝などに堆積した土砂の撤去、樹木の剪定(せんてい)など。取り除いた汚染土壌は原則的に敷地内に埋設し仮置きするが、道路側溝の土砂などは仮置きする場所が必要になる。周辺住民の理解を得ることが必要になるなどから、現時点で仮置き場はまだ決まっていない。
除染に先立って市は11月下旬から、空間放射線量測定器計81台を市政協力員などに貸し出し、自治会などと共同で市全域の詳細な汚染マップを作成中だ。マップは来年1月末までに完成する予定となっている。

除染実施計画で基本方針  取手市、県内初の策定  ~常陽新聞20111227~

福島第1原発事故の対策について、取手市は27日、市全域を対象にした除染実施計画の基本方針を策定したと発表した。同市は、来年1月施行の放射性物質汚染対処特措法の重点調査地域に指定される県内20市町村の一つ。基本方針を策定したのは県内で初めて。

基本方針は、除染の目標、実施期間、優先順位、実施主体、除染方法、汚染土壌の取り扱いなどについて定めた。除染費用は国が負担する。

ただし除染を進める上で最大の課題となる、除去した汚染土壌の仮置き場についてはまだ決まっておらず、同市は、第2段階である実施計画を策定する来年1月末までに、市内に選定したいとしている。

除染に着手するのは、実施計画策定後の来年2月からで、空間放射線量が毎時0・23マイクロシーベルトを下回るよう、14年3月末まで2年間掛けて除染に取り組む。除染を進める優先順位は、保育園、幼稚園や小中学校、高校、大学など、子どもが生活する環境を最優先にする―などとしている。

公共施設は市などが主体となって除染する。民有地については除染費用の負担がまだ詳細に決まっていないことから、国と協議しながら検討するとしている。市民が民家などを除染するに当たっては、土のう袋の配布などを準備しているという。

除染方法は、表土の削り取りや入れ替え、雨どい下や側溝などに堆積した土砂の撤去、樹木の剪定(せんてい)など。取り除いた汚染土壌は原則的に敷地内に埋設し仮置きするが、道路側溝の土砂などは仮置きする場所が必要になる。周辺住民の理解を得ることが必要になるなどから、現時点で仮置き場はまだ決まっていない。

除染に先立って市は11月下旬から、空間放射線量測定器計81台を市政協力員などに貸し出し、自治会などと共同で市全域の詳細な汚染マップを作成中だ。マップは来年1月末までに完成する予定となっている。

取手市議会事務局~26日開会した定例会における表決結果

取手市が県に子どもの甲状腺被ばく検査など健康調査要望

火曜日, 12月 20th, 2011
取手市が県に健康調査要望
子どもの甲状腺被ばく検査など
取手市放射能対策委員長の貫名功二副市長は19日、市民団体「放射能NO!ネットワーク取手」(本木洋子委員長)との協議の中で、福島第1原発事故の対応策について、県に対し、県民を対象にした健康調査の実施するよう要望していることを明らかにした。
11月に、子どもの甲状腺被ばく検査などを実施するよう要望したという。市単独で健康調査を行うのではなく、長期的、広域的な視点から、県単位で実施することが疫学的にも適切だとしている。
県民の健康調査の実施を巡って県は「現在の状況では必要ない」との立場をとっている。これに対し、県議会調査特別委員会は16日、栃木県が検討を始めているなどから、放射線の健康影響調査の実施などを盛り込んだ中間報告をまとめている。
同ネットワーク取手はほかに①来年スタートする除染計画の実施を待たずに、ただちに表土を除去したり立ち入り禁止にする除染のレベルを放射線管理区域のレベルである毎時0・6シーベルトにする②ストロンチウムも測定する③市内の側溝の汚泥をすべて取り除く④市有地ばかりでなく市内の大企業などにも測定と除染をするよう要請するなどを要望した。
これに対し市は①ただちに除染をする基準は、国に報告し除染を行うとされている毎時シーベルトとする②ストロンチウムの測定は、文科省が12月初旬から毎時0・2シーベルト以上の区域を対象に測定を実施しており、市内でも2カ所が対象になっている。結果は年度内にまとまる予定③側溝の汚泥などは仮置き場がないと除去することができないので、国に予防したい④大企業などにはまだ測定や除染を要望してないが、除染実施計画を策定後要望したいなどとした。
貫名副市長は「除染実施計画の認定を経て速やかに除染作業に入り、国や県にも必要な措置を要望して参りたい。放射能汚染問題については市民と情報を共有し、一層のリスクコミュニケーションを図りたい」としている。

取手市が県に健康調査要望 ~常陽新聞20111220~

子どもの甲状腺被ばく検査など

取手市放射能対策委員長の貫名功二副市長は19日、市民団体「放射能NO!ネットワーク取手」(本木洋子委員長)との協議の中で、福島第1原発事故の対応策について、県に対し、県民を対象にした健康調査の実施するよう要望していることを明らかにした。

11月に、子どもの甲状腺被ばく検査などを実施するよう要望したという。市単独で健康調査を行うのではなく、長期的、広域的な視点から、県単位で実施することが疫学的にも適切だとしている。

県民の健康調査の実施を巡って県は「現在の状況では必要ない」との立場をとっている。これに対し、県議会調査特別委員会は16日、栃木県が検討を始めているなどから、放射線の健康影響調査の実施などを盛り込んだ中間報告をまとめている。

同ネットワーク取手はほかに①来年スタートする除染計画の実施を待たずに、ただちに表土を除去したり立ち入り禁止にする除染のレベルを放射線管理区域のレベルである毎時0・6シーベルトにする②ストロンチウムも測定する③市内の側溝の汚泥をすべて取り除く④市有地ばかりでなく市内の大企業などにも測定と除染をするよう要請するなどを要望した。

これに対し市は①ただちに除染をする基準は、国に報告し除染を行うとされている毎時シーベルトとする②ストロンチウムの測定は、文科省が12月初旬から毎時0・2シーベルト以上の区域を対象に測定を実施しており、市内でも2カ所が対象になっている。結果は年度内にまとまる予定③側溝の汚泥などは仮置き場がないと除去することができないので、国に予防したい④大企業などにはまだ測定や除染を要望してないが、除染実施計画を策定後要望したいなどとした。

東日本大震災:取手市、ストロンチウム測定へ 市民団体要望に応え ~毎日新聞20111220~

◇2カ所程度、年度内に結果

取手市は19日、市民団体「放射能NO!ネットワーク取手」(本木洋子代表、70人)が市に提出した要望書に応え、放射性ストロンチウムの測定を市内2カ所程度で実施する方針を明らかにした。年度内に結果をまとめるとしている。ストロンチウムは骨に蓄積されて健康被害を及ぼすとされ、ストロンチウム90の生物学的半減期は約30年とされる。東京電力福島第1原子力発電所周辺だけでなく、100キロ圏外の東京や横浜などでも検出されている。

同団体は3日、「放射能から市民の命と暮らしをまもるため万全の対策を求める要望書」を藤井信吾市長に提出。ストロンチウム測定のほか▽毎時0・6マイクロシーベルトの放射線量が測定された場合、危険を表示し除染する▽汚泥などの仮置き場を市の責任で早急に設置する▽市内には複数の大企業があるが、市の公有地と同様に放射線量測定や除染を行う▽医療機関と連携して、市内に「ホールボディーカウンター」など健康検査ができる施設を設ける--など計9項目を求めていた。

これに対し、市は19日、ストロンチウム測定について「国の動向を注視しつつ速やかに対応したい」と応じ、方針を提示。また▽大企業にも放射線量測定や除染を依頼▽内部被ばくなど健康調査機関の設置については、隣接市や医療機関と協議し、広域的な視点で対処できるように関係機関に働き掛けたい--などと回答。食品の放射線測定機については、消費者庁に増設貸与を申請するとしている。

本木代表は「市は国や県の対応を待つのではなく、子供の被ばく量などを検査するなど、市独自の対応を進めてほしい」と訴えた。市放射能対策委員長の貫名功二副市長は「国や県に必要な措置を要望し、引き続き市民と情報を共有し、一層のリスクコミュニケーションを図っていきたい」と語った。

貫名副市長は「除染実施計画の認定を経て速やかに除染作業に入り、国や県にも必要な措置を要望して参りたい。放射能汚染問題については市民と情報を共有し、一層のリスクコミュニケーションを図りたい」としている。

取手市 ほんごう公園と台宿2丁目中公園を除染

木曜日, 12月 8th, 2011
東日本大震災:取手市2公園、除染の検証作業 専門家交えモデル事業 /茨城
◇効果的な対策へ
東京電力福島第1原子力発電所事故で放射性物質が飛散し、比較的高い数値が計測されている取手市は6日、市内の2公園で、筑波大学教授でアイソトープ総合センター所長、松本宏教授の助言を受けて除染検証作業を実施した。公園は子供が遊んだりイベントなどで利用される機会が多いことから、より良い除染方法を考察するためのモデル事業。市によると、専門家実地指導の除染対策は、県内では初めてという。
市はこれまでに、全220公園のうち、90公園の砂場を除染。子供らの安全・安心対策に力を入れている。しかし、放射線に関する専門職員がいないため、松本教授を招き、効率的な除染方法などを伝授してもらった。
その結果、まず最初に(1)樹木の枝葉を剪定(せんてい)(2)集めた枝葉を除去した後に遊具などを洗浄(3)削土し盛り土などをする--ことなどが、手順として効率的だという結論に至った。
この日はモデル公園として「ききょう」「羽中」「ほんごう」「台宿2丁目中」「しいの木」の計5公園のうち、ほんごう公園と台宿2丁目中公園の2カ所で、除染検証作業を行った。職員らは常緑樹などを剪定、データを採取し、有効な除染方法などを考察した。
除染検証作業は天候にもよるが、12日まで実施される予定。全ての公園を除染するには「多大な予算と時間が必要」で、市は「専門家を交えた初めてのモデル事業なので、効率的で迅速な除染対策を検証し、速やかに全公園を除染したい」としている。

東日本大震災:取手市2公園、除染の検証作業 専門家交えモデル事業

~毎日新聞20111207~

◇効果的な対策へ

東京電力福島第1原子力発電所事故で放射性物質が飛散し、比較的高い数値が計測されている取手市は6日、市内の2公園で、筑波大学教授でアイソトープ総合センター所長、松本宏教授の助言を受けて除染検証作業を実施した。公園は子供が遊んだりイベントなどで利用される機会が多いことから、より良い除染方法を考察するためのモデル事業。市によると、専門家実地指導の除染対策は、県内では初めてという。

市はこれまでに、全220公園のうち、90公園の砂場を除染。子供らの安全・安心対策に力を入れている。しかし、放射線に関する専門職員がいないため、松本教授を招き、効率的な除染方法などを伝授してもらった。

その結果、まず最初に(1)樹木の枝葉を剪定(せんてい)(2)集めた枝葉を除去した後に遊具などを洗浄(3)削土し盛り土などをする--ことなどが、手順として効率的だという結論に至った。

この日はモデル公園として「ききょう」「羽中」「ほんごう」「台宿2丁目中」「しいの木」の計5公園のうち、ほんごう公園と台宿2丁目中公園の2カ所で、除染検証作業を行った。職員らは常緑樹などを剪定、データを採取し、有効な除染方法などを考察した。

除染検証作業は天候にもよるが、12日まで実施される予定。全ての公園を除染するには「多大な予算と時間が必要」で、市は「専門家を交えた初めてのモデル事業なので、効率的で迅速な除染対策を検証し、速やかに全公園を除染したい」としている。

河合雅司 「街コン」が日本を救う? の記事より

月曜日, 12月 5th, 2011
河合雅司 「街コン」が日本を救う?
2011.12.5 07:23 (1/3ページ)
少子化が進む日本にとって、さらなる深刻なニュースが飛び込んできた。国立社会保障・人口問題研究所が発表した「出生動向基本調査」によると、夫婦が生涯にもうける子供の平均人数(完結出生児数)が、平成22年に1・96人となり、初めて2人を下回ったというのだ。
これまで日本は「晩婚化が進んだとしても、結婚すれば子供が生まれる国」とされてきた。多くの専門家が、少子化対策の優先課題に結婚支援を挙げているのも、夫婦の子供数が2人を超えていることが根拠だ。調査結果は、こうした見方を覆しかねない。
完結出生児数は長年2・20人前後で推移してきた。前回調査(17年)で2・09人に下落し、今。
もう一つ、うれしくないニュースがある。「彼女がいない」という18~34歳の未婚男性が61・4%に及んだのだ。「彼氏がいない」女性も49・5%である。いずれも過去最高だ。しかも、その半数近くが「交際を望んでいない」と冷めている。夫婦の子供数だけでなく、結婚以前の男女の出会いにまで、大きな変化が表れ始めている。
こうした国民意識の変化を軽く見ると、後で取り返しのつかないことになる。背景には、若年雇用の不安定さや、出産や結婚に対する価値観が変わったことなど、さまざまな理由があると思われるが、「結婚したい」「子供が欲しい」と考えている人も少なくない。
政府は「結婚しても出産できない」「結婚したいけどできない」といった人に新たな事情が広がっていないか、早急に分析し対策を講じるべきだ。
しかし、民主党政権に多くを望めない。戦前の「産めよ殖やせよ」の出生奨励策へのアレルギーから、政府が出産や結婚に口出しすることに拒否感が強いためだ。子ども手当にみられるように、生まれてきた子供をいかに支援するかという政策が中心なのである。
一方で、こうした暗いニュースを吹き飛ばしそうなブームが民間から巻き起こっている。「街(まち)コン」だ。いまや全国各地で展開されている。
一つの街を舞台に、数百人規模の若い男女が飲み歩く超大型の合同コンパである。主催団体に1人何千円かを払って登録すると、指定されたお店を自由に行き来して、時間制限で飲食できる仕組みだ。
「街コン」の良いところは、単なる男女の出会いの場にとどまらないことだ。主催する飲食店側は若者への知名度が上がり、新規顧客を開拓できることになる。商店街に活気が出て、地域全体の活性化につながることも期待できる。
東日本大震災を経て、助け合うことの大切さが見直され、誰かとつながっていたいという気持ちも強まった。結婚意識が高まっているとの指摘もある。こうした機運を大きな流れにしていきたい。
「街コン」は、現在の日本が抱えるいくつもの難題を、一挙に解決する切り札になるかもしれない。(論説委員)
河合雅司 「街コン」が日本を救う? ~茨城新聞20111205~
少子化が進む日本にとって、さらなる深刻なニュースが飛び込んできた。国立社会保障・人口問題研究所が発表した「出生動向基本調査」によると、夫婦が生涯にもうける子供の平均人数(完結出生児数)が、平成22年に1・96人となり、初めて2人を下回ったというのだ。
これまで日本は「晩婚化が進んだとしても、結婚すれば子供が生まれる国」とされてきた。多くの専門家が、少子化対策の優先課題に結婚支援を挙げているのも、夫婦の子供数が2人を超えていることが根拠だ。調査結果は、こうした見方を覆しかねない。
完結出生児数は長年2・20人前後で推移してきた。前回調査(17年)で2・09人に下落し、今。
もう一つ、うれしくないニュースがある。「彼女がいない」という18~34歳の未婚男性が61・4%に及んだのだ。「彼氏がいない」女性も49・5%である。いずれも過去最高だ。しかも、その半数近くが「交際を望んでいない」と冷めている。夫婦の子供数だけでなく、結婚以前の男女の出会いにまで、大きな変化が表れ始めている。
こうした国民意識の変化を軽く見ると、後で取り返しのつかないことになる。背景には、若年雇用の不安定さや、出産や結婚に対する価値観が変わったことなど、さまざまな理由があると思われるが、「結婚したい」「子供が欲しい」と考えている人も少なくない。
政府は「結婚しても出産できない」「結婚したいけどできない」といった人に新たな事情が広がっていないか、早急に分析し対策を講じるべきだ。
しかし、民主党政権に多くを望めない。戦前の「産めよ殖やせよ」の出生奨励策へのアレルギーから、政府が出産や結婚に口出しすることに拒否感が強いためだ。子ども手当にみられるように、生まれてきた子供をいかに支援するかという政策が中心なのである。
一方で、こうした暗いニュースを吹き飛ばしそうなブームが民間から巻き起こっている。「街(まち)コン」だ。いまや全国各地で展開されている。
一つの街を舞台に、数百人規模の若い男女が飲み歩く超大型の合同コンパである。主催団体に1人何千円かを払って登録すると、指定されたお店を自由に行き来して、時間制限で飲食できる仕組みだ。
「街コン」の良いところは、単なる男女の出会いの場にとどまらないことだ。主催する飲食店側は若者への知名度が上がり、新規顧客を開拓できることになる。商店街に活気が出て、地域全体の活性化につながることも期待できる。
東日本大震災を経て、助け合うことの大切さが見直され、誰かとつながっていたいという気持ちも強まった。結婚意識が高まっているとの指摘もある。こうした機運を大きな流れにしていきたい。
「街コン」は、現在の日本が抱えるいくつもの難題を、一挙に解決する切り札になるかもしれない。(論説委員)

我が家の歴史50年史

日曜日, 11月 20th, 2011

クローゼットに入っていた5段チェストをリメイクしたい

子どもの提案でリメイク開始

震災がきっかけで始まった家中の片付けが中盤を迎えた

リメイク

リメイク

「あれれ 1ヶ所塗り忘れ??」

リメイク

調査の為に抜いた子ども部屋の壁(右下補修テープ)を見ると震災の日を思い出します

今日の地震も揺れましたね・・・

放射能NO!ネットワーク取手結成

日曜日, 11月 20th, 2011

放射能の不安ない街に 取手で市民団体結成  ~常陽新聞20111120~

市民の力を結んで、 取手を不安なく子育てできる街にしようと、 市民団体 「放射能NO!ネットワーク取手」 (本木洋子代表) が19日結成された。 同日取手市寺田の市福祉交流センターで開かれた結成記念講演会には市民約100人が参加した。 今後、 放射線の勉強会や市内の放射線測定などに取り組み、 市に放射線対策などを要望していくという。
 
同市ではすでに放射能に不安をもつ母親らが 「放射能汚染から子どもを守ろう@取手」 を結成している。 「ネットワーク取手」 は、 市内の各団体と連携し、 将来は共同行動を取りたいとしている。
 
19日は 「チェルノブイリの子どもを救おう会」 (日立市) 代表の久保田護茨城大名誉教授が 「チェルノブイリと福島―放射能から体を守るために」 と題して講演した。 チェルノブイリ原発事故の汚染地ベラルーシで住民がどのように暮らしているかなどを詳細に話し、 「自分が生活する周りを細かく測定することが大事」 「空間線量率測定器や食品放射能測定器ばかりでなく、(内部被ばくを測定する) ホールボディーカウンターも行政などに働き掛けて整備し、 自分たちで測定し自分たちで判断していくことが大事」 などと話した。
 
ベラルーシでは学校の先生が子どもたちに内部被ばくを抑える生活方法を指導しているなどの例を挙げて 「先生や親の指導力で、 子どもの内部被ばくは変わる」 と強調した。

銀座みゆき通りの黄門マルシェ

土曜日, 11月 19th, 2011

おっしゃれ~

この立地、低価格料金設定・・・

茨城県広報部が「茨城ブランド力アップ」に力を入れていることがうかがわれます

期間限定だからこそ予算とれるのでしょうけれどアンテナショップがあったらいいですね

黄門マルシェ

黄門マルシェ

黄門マルシェ

黄門マルシェ

頑張れ東北

 

磯山さやかの旬刊!いばらき 『黄門マルシェ(東京・銀座)

期間限定で味わえる,皇居周辺で採れたはちみつと茨城の食材を使用した

ポタジエのとのコラボ商品スイーツ150円は店内レストランで召し上がれます

11月27日まで

取手市商工会女性部 鶴のオブジェ制作

金曜日, 11月 18th, 2011

東日本大震災:復興祈願、鶴のオブジェ制作 ~毎日新聞20111118~

取手市商工会女性部 /茨城

 取手市商工会女性部(田中園子部長、210人)は東日本大震災の復興を祈る「震災復興祈願のオブジェ」を制作しており17日、市商工会(同市取手)で約20人がオブジェにつるす鶴の最終仕上げを行った。

 オブジェは、ひと針ひと針、復興への願いを込めて作った150羽の鶴のつるし飾り。背景に四季折々の美しい花々をあしらい、震災犠牲者の冥福を祈り、スイレンの花があしらわれる。22日に全体を組み立て、12月1日に市商工会館ロビーに飾った後、来年2月11日~3月3日まで開かれる「第8回 取手宿ひなまつり」で展示される予定だ。

東日本大震災:復興祈願、鶴のオブジェ制作

東日本大震災:復興祈願、鶴のオブジェ制作

東日本大震災:復興祈願、鶴のオブジェ制作

東日本大震災:復興祈願、鶴のオブジェ制作