女の気持ち 夫は新人
毎日新聞2017年3月17日
女社長1人だったわが家に、65歳の新入社員がやって来ます。主人が退職して家にいるようになるのです。
先日、入社前の面接(?)で仕事内容について「ゴミ捨てと台所どっちがいい」と聞いたら、「台所」との返答だったので、入社早々料理長に抜てきしました。省エネの決め事などについて「この家では社長の私のルールに従ってもらいます」と言うと、パワハラで訴えるなどと口答えする社員ですが……。
今まで昼間は私が専有して好き勝手に使っていたリビングが共有スペースになります。主人は以前から空いた子供部屋を書斎にしていました。私も子供が巣立っていった部屋の、持ち主に置き去りにされた物たちを片付けて、私の部屋にすることにしました。リビングの片隅で描いていた絵も、私の部屋をアトリエと呼んでイーゼルを立てて描いてみたらちょっと画家気分になれました。
物置状態だった場所が生かされ、何だかいろいろ夢が広がります。2人が家にいる新生活はどのようなものになるのか未知数ですが、これからお互い年を取っていくのは避けられないことなので、じじばばいたわり合いながら、4月から始まる新しい暮らしを健康で楽しんでいけたらと思っています。