3月30日産経新聞
“建築界のノーベル賞”といわれる米プリツカー賞を西沢立衛(りゅうえ)さんとともに受賞した建築家、妹島(せじま)和世さんは茨城県日立市出身。金沢21世紀美術館(金沢市)などの作品で知られ、地元、茨城県内にも手がけた建築が多数ある。
出身地、日立市では平成23年春に完成予定のJR日立駅周辺整備事業でデザインを監修。妹島さん自身も通学に利用していた同駅を「海が見える」ことを重視して、橋上駅舎や自由通路、駅前広場などを一体的にまとめた。市日立駅周辺整備課の担当者は、妹島さんの仕事について「建物だけでなく外部とのかかわりを重視しながら、粘り強くデザインを模索していた」と評価する。
母校、県立水戸一高(水戸市三の丸)では、平成12年に創立120周年を記念して建てられたガラス張りの合宿所「江山閣(こうざんかく)」の設計を担当した。同校の部活動などで校内合宿に利用されており、受賞を聞いた弓道部員、仁平有紀さん(17)は「そんなにすごい建物だったなんて」と驚いた様子。「伝統ある学校の中で、柔らかい感じの建物で好きです」と話していた。
妹島さんが手がけた建築物は、JRひたち野うしく駅前のビル「ひたち野リフレ」(牛久市ひたち野東)、西沢さんとの建築ユニット「SANAA」としての古河総合公園(古河市鴻巣)のカフェテラスなど県内に多数ある。