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芸術家×取手市民、物語紡ぐ 団地や小学校舞台の漫画、地域交流育む

火曜日, 10月 31st, 2017

芸術家×取手市民、物語紡ぐ 団地や小学校舞台の漫画、地域交流育む 茨城取手

 東京都在住の芸術家、宮田篤さん(33)と笹萌恵さん(31)夫妻が、取手市民とのコミュニケーションを通じて物語を紡ぐ漫画の連載に取り組んでいる。現存する団地や小学校を舞台にストーリーが展開し、連載は今年で7年目となった。温かみを感じる画風の漫画は、地域の交流を育み、街の足跡を残す役割も果たしている。(海老原由紀)

                 
 聞き取りから素材集め

 2人の漫画「リカちゃんハウスちゃん」は、トラックに乗って取手市の井野団地にやってきた少女「リカちゃん」と、その保護者で住居という「ハウスちゃん」を主人公に平成23年、連載が始まった。この基本的な設定は変えずに、団地住民や児童との会話と、「おたより」と称する質問用紙の回答をもとにストーリーを組み立てている。

 作画は宮田さん、聞き取りや物語の筋立ては主に笹さんが担当する。2人は月に1回、市立取手東小(同市吉田)の図書室を訪れ、昼休みの時間を利用して児童から話を聞き、漫画の「素材」を集めている。修学旅行の土産、髪形の流行、花の種類-と話題はさまざまだ。

 図書室には写真アルバムに納めた漫画のほか、ポストを置いて「おたより」も募集している。笹さんは「この活動をしていると、自分の小学校時代を思い出す」と話す。クラスメートだけでなく、学年の違う児童が話し合う場面もあり、漫画は新たな交流を生み出す効果をもたらしている。

 作品の公募やアーティストを紹介する「取手アートプロジェクト(TAP)」に参加した約10人のメンバーらが22年に、新たなことを始めようと再び集まったのが、漫画連載のきっかけとなった。当時のTAPに関わった宮田さんは「団地住民が共有できるフィクションがあれば」と、学生時代のスケッチを生かす創作活動を思い付いた。

 少女の成長と街の変遷

 当初は、井野団地の住民や商店主らに話を聞き、掲示板に漫画を張っていたが、リカちゃんの“成長”にあわせて、24年5月からは団地近くの井野小にも活動の場を広げた。

 井野小は27年3月に学校統廃合で閉校したため、その2カ月後に統合校の取手東小に拠点を移動。リカちゃんも漫画の中で井野小から取手東小に転籍し、児童とともに成長していく。

 団地内の隣り合う美容院と理容店、今はないパン屋、閉校する井野小…。1年に1冊のペースで連載している漫画には、団地や小学校の何気ない風景が描かれ、思い出が蓄積されている。宮田さんは「後で読むと、『あのときはこうだった』と思い返せる」といい、笹さんは「結果的に記録できたことは大切にしたい」と語る。

 リカちゃんは現在、6年生の設定。同じ学年の児童は来年3月で卒業するが、漫画のストーリーはどんな展開にするか定まっていない。

 宮田さんは「児童とのやり取りでイメージをふくらませ、『これだ』と決まれば」と話しており、これからも漫画の連載を通じたコミュニケーションを楽しんでいくつもりだ。

温暖化で「猛烈な台風増」 つくば・気象研

火曜日, 10月 31st, 2017

温暖化で「猛烈な台風増」
気象研 温暖化で日本南海上の「猛烈な台風」増

地球温暖化が進むと、台風など世界中で発生する熱帯低気圧の数は減るが、日本の南海上を通過する猛烈な台風は増えるとのシミュレーション結果を、気象研究所(茨城県つくば市)などの研究チームが26日発表した。この地域では、海面水温上昇のほか、大気循環が台風を発達させやすい状態になることが原因とみられるという。

研究チームによると、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書が予測しているように、有効な対策を採らず今世紀末に世界の平均気温が現在より3度程度上昇した場合、世界の熱帯低気圧の年間発生数は現在より33%減少。米国のハリケーンで上から2番目に強い「カテゴリー4」以上(風速59メートル以上)に相当する猛烈な台風も13%減る結果になった。

一方、日本の南海上から米ハワイ、メキシコの西海上にかけての北太平洋では、猛烈な台風が増加。日本の南海上では、現在10年に3回程度から5回程度に増える。強い風雨は広範囲に及ぶため、チームの吉田康平研究官は「日本列島への影響も大きく、温暖化防止や台風への警戒を強める必要がある」と指摘する。