とりで利根川灯ろう流し
市民大学講座 小川芋銭と取手、関係の深さ学ぶ
毎日新聞2019年8月23日
かっぱの絵で知られる牛久市の画家、小川芋銭(うせん)(1868~1938)と取手市との関わりを学ぶ市民大学講座が開催された。講師は、小川芋銭研究家の北畠健さん(71)=桜川市。取手の俳人らとの親密な交友を解説し「芋銭は取手の人たちに愛され、牛久よりも関係が濃密だった」と述べた。
講座のタイトルは「取手と芋銭」。取手市教育委員会が主催し、12月まで全5回の予定。初回の21日は、芋銭の生涯を追った。
芋銭は小学校を卒業後、上京し、画学専門校で学んだ。1899(明治32)年に取手の俳句会「水月会」に加わったのを機に俳人らと交流し、取手で「よく酒を酌み交わした」という。
還暦の祝賀会は取手の料理店で開かれ、古希の祝賀会も取手の長禅寺だった。北畠さんは「取手を掘り下げるといろいろな史料が出てくる」と語った。芋銭については「中国や日本の古典を独学で学び、学者も裸足で逃げ出すほどの深い教養を持っていた」と説明した。
受講した市内の農業の男性(64)は「芋銭の作品が好きだが、取手との関わりは知らなかった。奥が深い」と興味を抱いていた。
寄付 戸田さつきさん、反射材を中学生に 取手市立中2500人分
毎日新聞2019年8月22日
犬のリードを製造・販売する「RUMKA(ルンカ)」(取手市)の経営者、戸田さつきさん(40)が市立中学の全生徒約2500人分の反射材を寄付した。大きさは縦5センチ、横10センチ。市は学校を通じて夏休み明けに配布し、自転車などに付けて夜間の事故防止に役立ててもらう。
戸田さんは6月末の夜間に運転中、自転車に乗った中学生のたすきの反射材があまり光っていないと感じた。自社製品に使っている反射材の方が目立つと考え、製造元の「ユニチカスパークライト」(本社・京都府)に相談。同社が提供してくれることになった。船舶の救命浮輪や救命胴衣に使われるほど高性能の反射材だという。
戸田さんは7月上旬、阿見町にも町内の全小中学生約3800人分の反射材を寄付。取手市役所は7月24日に訪れ、「起業を応援していただいた取手に恩返しができてうれしい」と語った。藤井信吾市長は「2学期に入ると日没が早まる。下校時の安全確保に役立つ」と感謝した。
東日本大震災
避難者と市民交流 互いの近況語り合う 取手で納涼会兼ね40回目例会
毎日新聞2019年8月19日
東日本大震災と原発事故のため取手市などに避難した人たちと市民でつくる交流団体「取手・南相馬・双葉浜通りの集い」が17日、同市戸頭の交流施設「戸頭おやすみ処」で納涼会を兼ねた例会を開いた。約20人が和やかに懇談しながら交流を深めた。例会は昨年8月以来で通算40回目。
「浜通りの集い」は震災7カ月後の2011年10月に発足し、同12月から例会が始まった。福島県南相馬市出身で代表の三浦邦夫さん(75)は「集いが始まった時から市役所や地域の皆さんに寄り添っていただき、ありがたい。ご縁を大切にしていきたい。少しずつ生活が安定してきた」とあいさつ。参加者はお互いの近況や暮らしぶりについて語り合った。
取手市で家族と暮らす同県双葉町出身の女性(68)は震災前、爆発事故を起こした東京電力福島第1原発から約1・5キロ離れた自宅で暮らしていた。事故後、家族で取手に避難し、4年前に家を建てた。「双葉では先が見えず帰れない。避難した時に幼稚園児だった孫娘も中学3年になり、こちらの友達が多い」と話していた。
福島県によると、震災で県外に避難している人は3万1483人(7月10日現在)。取手市によると、家賃の公的補助を含む市内の応急仮設住宅の入居者は12年度に44世帯138人だったが、避難指示が順次解除されるなどした結果、現在は3世帯3人となった。